2006年7月のご挨拶

こんにちは。7月になって2006年も折り返しが近づいてきました。4年に一度のワールドカップも 日本にとっては残念な結果に終わってしまいました。その国を代表して戦うということは、私たちの想像をはるかに超えるようなプレッシャーとの戦いなのだろ うなと思いました。お互いが大きな物を背負って臨む試合は、やはりそれまで積み上げてきた自信と、覚悟のぶつかり合いなのだと感じました。一方で、ジダン 選手に象徴されるようにレッドカードが過去最多ということは非常に残念です。怒ったほうも、怒らせたほうも、いろいろな人の夢や思いが注がれていることを 忘れてしまうのでしょうか?中田選手の早すぎる引退も個人的には残念です。

今月は1日にサンシャインで車椅子のお子さんとご両親に、8日に は神奈川県内の幼稚園で、お話と演奏をさせていただく機会がありました。次の世代の子供達と直接接してみて、子供たちの屈託の笑顔に心が洗われる思いがし ました。同時に「大人になる」ということは、「次世代の子供たちに対して伝えるメッセージを持つ」事なのだと私は思いました。もちろん、私自身、発展途上 の人間で、まだまだ子供たちの夢や期待を背負えるような存在ではありません。ですが、、自分の存在や言葉が少しでも、子供たち、特に同じように体に障害を 持った子供達に希望を持ってもらえる可能性があることを信じ、自覚を持っていたいと思います。別に立派である必要はないと思います。かっこつける必要もな いと思います。ただ、あきらめずに、自分を捨てずに自分の信じる道を生きていくことが大切なのかなと、思ったりもします。

15日には広島で コンサートがありました。私にとっては、首都圏以外での初の本格的なコンサートとなりました。東京と広島の距離は実際、いろいろなハンデがありましたが、 その分、多くの温かい人の想いに支えられてコンサートの実現に至りました。当日は皆さんのご尽力のかいあって、200人以上のお客様が聞いて下さいまし た。皆さんの思いが結集しているということから、プレッシャーもありましたが、意欲に溢れる演奏者の皆さんにも支えられ、積極的な音楽作りができ、成果が 上がったこと、本当にありがたく、幸せな思いで一杯です。

両親、恋人、友人、自分を応援してくださる方、誰でも人は、多かれ少なかれ、人か ら期待される存在です。人の期待は時に辛く苦しいこともあります。思うような結果が出なかったときは情けないし、悲しくなります。しかし、全く誰にも期待 されない自分を想像すると私は寂しく、恐ろしくさえ感じます。期待されるということは自分を必要としてくれる人がいるということです。こんな自分でさえ必 要としてくれる人がいるのは、本当にありがたいことです。自分の存在自体に挫折することも多々、自己嫌悪に陥ることも多々ありますが、あせらず、でもあき らめずに自分を磨き続けることが皆さんの期待に応えることだと信じ、ウィーンでも頑張ってこようと思います。