2008年9月のご挨拶

やっくんおつかれさま菓子
こんにちは。9月の更 新、遅くなってしまって申し訳ありません。暑い夏、突然の雨にやられながらも、私は元気にしております。ここ数日はやっと暑い夏も雨続きの日々も一段落し て涼しくなってきました。皆さん、今年の夏はいかがでしたか?私は、温泉でのんびり・・・なんていう旅行はかないませんでしたが、指揮者として、大変素晴 らしい出会いをいただき、音楽の方は充実した日々を過ごすことができました。

私は四季の中で秋が一番好きです。食欲の秋、芸術の秋、そして 美しい紅葉。本当に気持ちが安らぐ季節です。でも今年の秋は、先日の福田首相の突然の辞任発表があって、自民党総裁選、そして総選挙と、どうやら政治の方 があわただしそうです。このところは「安心実現」どころかお米も安心して食べられない、子供を巻き込む殺人事件増加、年金もデータが不明瞭、石油などの物 価高騰、株価暴落、少子高齢化・・目もくらむばかりの数多くの問題が山積している状況下で、政局まで不安定では本当に先行き不安です。

先日 立ち読みで小泉元首相の本を読みました。クラシック音楽にも造詣が深く、ヴァイオリンも演奏されていた小泉さん。「首相と指揮者は似ているか」という質問 に、指揮者は多少の意見の相違があろうとも、最終的にはよい音楽を作ろうという方向性をもってオケと指揮者は一丸となるけれど、首相には、野党や派閥など の反対勢力というものが存在し、いくら頑張っても足を引っ張り合って国会を同じ方向でまとめることができない、という文がありました。それが民主主義政治 の現実なのでしょう。でもあまりに残念なことです。国家の危機とも言うべき状況にあるとき、政党や派閥という小さな枠組み、利害に縛られずに、大きな目標 に向けて、互いに意見、知識を持ち寄り、団結して乗り越える・・確かに理想論には違いないけれど、そういう新たな政治がそろそろ必要なのではないかと思い ます。

選挙で一番嫌いなのは「選挙カー」「街頭演説」です。街中で、大きな名前でひたすら候補者の名前を連呼する選挙カー。朝から駅前、住 宅街、オフィス街で行きかう人に向かってマイクで叫ぶようにひたすら話し続ける街頭演説。あれは、あまりに時代にそぐわないし、政治家として、あまりに無 神経ではないかとおもうのです。夜の仕事をしてやっと朝眠りについた人がいるかもしれない、不眠症で眠れない人がやっと眠れた・・という人がいるかもしれ ない、もしくは録音や音楽の作業をやっているひとがいるかもしれない。少数派であっても、そういう人たちの生活を、政治家だからといって踏みにじってもよ いのでしょうか。それだけ迷惑をかけながら名前を連呼しても、いい結果を呼ぶとはどうしても思えません。テレビやラジオでの演説や地域の公民館での講演 会、インターネットなど、聞きたい、知りたいと思う人が選択できる場所、媒体を当然選ぶべきだと私は思います。

小泉元首相が国民から人気が あった理由は、彼自身の考えや意見を明確に、彼自身の言葉で熱意を持って述べていたことにあるように私は思います。それは、彼が学生時代に音楽、ヴァイオ リンの演奏をやっていたこともおおいに影響しているのではないでしょうか。音楽でも、政治でも、自分の表現したいことを、熱意を持って伝えることはとても 大切なことです。日本の新しいリーダーは、ぜひ自分の言葉で信念を語れる情熱、そして少数派の存在にも気がつく繊細さ持ち合わす人であってほしいと思いま す。
なんだかとりとめのない話になってしまいました。今年の秋が、選挙カーなどでうるさいだけ、政党同士の足の引っ張り合いでおわるのではなく、本当に実りの多い秋であってほしいと願っています。