新年明けましておめでとうございます。
2022年はヤクルトスワローズセリーグ2連覇など個人的には明るいニュースもありましたが、概ね先の見えないコロナ禍、インフルエンザ、物価高、暗殺、戦争と不安なニュースが多かったように思います。特に、マスクをすることが日常化した社会で、黙食、ソーシャルディスタンスなどにより、気づかないうちに人と人のつながりがどこか希薄になってしまったように思います。指揮者にとって、人のつながりは生命線です。そういった意味でもなかなか厳しい一年でした。その中、兵庫県立芸術文化センターで定期演奏会をご一緒して下さったグリーン交響楽団の皆さん、そしてご縁を頂いてから今年で10年目を迎える化学オーケストラの皆さんとコンサートを2回することができましたことに、心から感謝を申し上げます。
2023年は、私の実家のある地元のオーケストラ、くにたち市民オーケストラの皆さんとニューイヤーコンサートで幕を開けることができました。「天国と地獄」序曲から始まるエネルギッシュで歌心に満ちた音楽の数々を、オーケストラの皆さんと、ご来場くださった皆さんと共有できた時間はとても幸せな時間でした。私たちの心や空間の色を一気に変えることができる音楽の力をまざまざと感じることができました。特に今回取り上げた作曲家の生きた19世紀は、ナポレオンをめぐる戦争から始まり、占領、革命、コレラの流行、産業革命による社会構造の変化など次々と人々を不安が襲った時代でした。そんな現実に押しつぶされそうな人々の心を支え、夢中にさせた音楽の力は、21世紀でも健在だと強く感じました。
4月には府中の森芸術劇場どりーむホールで、くにたち市民オーケストラの皆さんとファミリーコンサートを予定しております。ニューイヤーコンサートに引き続き、お祭りのようなにぎやかな明るさとエネルギーに満ちたプログラムです。今年こそは、コロナ禍以前の、マスクをはずして、互いの笑顔を交わすことのできる日々が戻ってくるよう心から願い、音楽の力を借りながら、心と身体の健康を大切に、一年頑張ってまいりたいと思います。
本年もどうぞ宜しくお願いいたします。