2014年10月のご挨拶

みなさん、こんにちは。長い間ホームページの更新が滞ってしまい、大変失礼致しました。相変わらず毎週のように大阪ー東京間を行き来しつつも、お陰さまで元気にしております。10月もあっという間に半ばを過ぎて月末・・。もう朝晩は肌寒くなって虫の音も賑やかになってきました。暑くも寒くもない心地よい季節、私は最近、歴史散策やバードウォッチングなどをしています。この数ヶ月、ゲリラ豪雨や台風、噴火などの想像を超える自然の恐ろしさを感じることも多い日々でしたが、一方でうららかな日差し、心地よい風、美しい夕陽、心に沁みる虫の音。つくづく大地の恵み、自然に生かされてるんだと感じます。


先月は、和歌山や泉南の方へ、「ウミホタル」を見に出かけました。(東京湾アクアラインの・・ではないですよ)蒼い幻想的な光を放つ海の生物で、ある日これはぜひとも見てみたいと思いたって、真っ暗な夜の海へ出かけました。色々調べて仕掛けを作ったのですが、結局捕まえて見る事はできず、残念ながら次回へ持ち越しとなってしまいました。(もし、見たことある方捕まえた事のある方いらしたら詳細を教えて下さい!)ですが、暗闇の中から聞こえる波の音をバックに、そこで見た大阪、神戸の夜景のなんと美しかったこと!またその日は初めてマツムシの鳴き声を自然の中で聴く事ができました。カセットやテレビでは「チンチロリン」とは聞いたことがありますが、自然の中で生で聞くのはやはり味わいが違います。自然のテレビもラジオも録音技術なかった昔、そして街灯もなく月明かりという時代に生きた人々にとって、虫の音というのは、きっと音楽の代わりに多くの人の心を癒してきたのだろうな。。そんなことをしみじみ思いました。

先々週は、大阪城公園にバードウォッチングに出かけ、キビタキやノゴマといったなかなか都会ではお目にかかれない鳥と初めて出会うことが出来ました。大阪市内、都会のど真ん中なのに大阪城恐るべし。小学生の頃野鳥図鑑を見て憧れていた鳥にやっと出会えた喜び!そしてそのなんと鮮やかな事!(写真で伝わるでしょうか・・)感動的でした。次こそはオオルリを見たいと思っています!


そして先日は淀川のワンドで「釣り」デビューをしました。天然記念物のイタセンパラなどの日本の固有腫を守るために、ブラックバスやブルーギルといった外来種の駆除を目的としたイベントに参加しました。10時過ぎから始めて5時間、爽やかな風と豊かな自然を感じながら釣りを楽しみました。肝心の釣果ですが、さすがに超初心者は坊主で終るんだろうなと覚悟した終了5分前・・!浮きが小さく沈んだ瞬間、無我夢中で竿を上げたら!小さなブラックバスが釣れました!いや、ほんといくつになっても、「初めて」というのは嬉しいものですね!


音楽も、初めての出会いは難しくもあり、嬉しいものでもあります。知られざる名曲との初めての出会いは、ワクワクするような瞬間に満ちています。予想外の転調や和声進行、対旋律やフーガの面白さ、構成上の驚きの仕掛け・・次は何が起こるのか分からないのは楽しいものです。そうくるか!と独り言をブツブツ言いながら楽譜を読んでいます(笑)幸か不幸か聴きなれてしまった「運命」「田園」などの音楽は、もし初めて聞いたならどんだけワクワクするのだろうと初演をきいた当時の人を羨ましく思ってしまいます。(そんな曲も楽譜を読むたびに新しい発見があるから驚きです)

演奏も「次に何が起こるのかワクワクしてもらえる」ような演奏にしたいと常日頃思っています。聴きなれた曲で、楽譜どおり演奏していても、次のフォルテはどんな表情なのだろう?ピアニッシモはどれだけ息を呑むような音なのだろう・・!そんな生き生きとした表現が、聞くお客さんの心をいつのまにか虜にしてしまう・・常に私が心がけている目標のひとつです。そのためには、演奏者が、指揮者がどこかで冷静かつどこかでワクワクしていなければならないと思います。そのバランスが本当に仕事だと思います。

来年2015年2月に、私が振るコンサートが2公演、予定されています。一つは2月7日(土)MFL管弦楽団の演奏会では、サン=サーンスの交響曲第2番とビゼーの交響曲第1番という二人の天才作曲家の知られざる交響曲をとりあげます。もう一つはその2日後の2月9日(月)渋谷区文化総合センター大和田での演奏会ではバッハの名曲とともにバッハの息子のCPE.バッハやフランツ・ベンダといった知られざる作曲家の名曲を演奏します。どの音楽も作曲家たちが英知を絞って、身を削って書き上げたものばかりです。どの曲もそれぞれに籠められた思いやエネルギーを感じます。皆さんにそれぞれの魅力を充分に感じてもらえるよう、しっかりと準備を進めてまいりたいと思います。

2014年8月の更新

 みなさん、こんにちは。8月に入り、暑さも一段と厳しくなってまいりました。いかがお過ごしでしょうか?大阪は10日の台風から一夜明け、すがすがしい青空が広がっています。ゲリラ豪雨や雹など東京では気候の変化の激しい毎日のようですが、こちら大阪の今年の夏はかなり暑いものの、夕立もなく去年よりも穏やかなように思います。

 まずは先月7月の更新を飛ばしてしまい、定期的に読んで下さっている皆様に大変ご心配をおかけしました。お詫び申し上げます。実は、諸事情により、先月下旬、猛暑の日に大阪市の中で小さな引越しをしました。前の家から徒歩圏内の場所への引っ越しでしたなので忙殺される事はなかったのですが、それでも引っ越しは引っ越しです。引越しにももう慣れてきたはずですが、荷造りや引越し業者選定、エアコンの取り付け取り外し、やはりやる事は多いものですね。新居は高層階で、引っ越しの次の日は天神祭の花火大会でした。バルコニーからは実に鮮やかな花火が目の前に次々とあがり、一気に引っ越しの疲れが吹き飛びました。


 普段も大阪城とハルカス、大川の流れが見える素晴らしい景色!つい先日は富田林市でのPL花火大会も遠くに見ることが出来ました。お蔭さまで華やかに大阪生活2年目を迎えることができました。


 本当に早いもので、先月で引っ越してから1年、大阪での生活が2年目に突入しました。一周年を記念して、7月初旬に、初めて地上60階、高さ300メートルの日本一高いビル「あべのハルカス」の展望台へ行ってきました。(その時は引っ越したら毎日眺められるとは思っておりませんでした)ハルカスという名前は「晴るかす」、晴れやかにするという意味の古語から命名したそうですが、その名の通り眼下に広がる大阪の街を眺めて、晴れやかな気持ちで一年を振り返ってきました。


 大阪に暮らし始めた当初、週末東京に通う生活、内心、奇想天外でどうなることやらと思いましたが、いざやってみればあっという間の1年でした。JR深夜バスの方々にはすっかり常連さんになってしまい、毎度大変お世話になっております。大阪での暮らしを味わいながら、東京のお仕事をする。思えばなんとも贅沢な事だと思います。関東と関西との言葉の違い(手話も関東と関西、随分違うんです!)、文楽などの上方の文化、自然や気候の違い、食文化、そしていにしえからの歴史的遺産の数々。もっと味わいつくしてまいりたいと思います。

 なにより大阪に来て、いろいろな方との新しい出会いがありました。小学校のボランティアでは、純朴でかわいらしい1年生の教え子がたくさんできる嬉しい出来事もありました。そして自分の小学校時代の級友や、ウィーン留学のときの友人との再会がありました。残念ながら、大阪でまだ指揮者としての仕事にはつけてはいないため、反省点も多いのですが、さまざまな経験ができたと思っています。お世話になっている多くの方に感謝です。

 最後に、コンサートとコンサートポートの宣伝をさせて頂きます。

 まずは2015年2月9日の夜に、フルーティストの藤田真頼さん、チェンバリストの山縣万里さんと、プロ団体であるオーケストラトウキョウのメンバーで、渋谷区文化総合センター大和田の伝承ホールでコンサートをすることが決まりました。素晴らしい演奏家の皆さんと音楽を共にすることが今からとても楽しみです。プログラム等詳細が決まり次第、随時皆さんにご報告いたします。

 コンサートポートにはそのオーケストラトウキョウとのベートーヴェンの交響曲の録音がアップされました!!1番、2番、4番、そして5番。どの録音も、音楽そのものが持つ自然な流れと、感情の陰影の深さを可能なかぎり追求しました。限られたリハーサル時間ではありましたが、意識の高い若い演奏家が集まったオーケストラならではの挑戦的なテンポ設定で、引き締まった出来ではないかと思っています。コンサートポートはまだ英語表記が中心のページで、若干とっつきにくいかもしれません。不明なところがありましたら、お気軽にご連絡ください。ぜひとも、ハイドンの44・45番と合わせて、ぜひお聴きいただければ嬉しく思います。どうぞ宜しくお願いします。

2014年6月のご挨拶

 こんにちは。今年は早くも全国的に入梅になりました。今年の梅雨は長引くようですが、皆様いかがお過ごしですか?先日、大阪から東京へ向かう高速バスが、甲府や八王子での大雨による通行止めのため、中央道から信越道へ急遽迂回する事になり、急遽実家の近くのバス停も通ることなく、新宿、東京へ直行され、到着が2時間以上遅くなるハプニングがありました。仕事より1日早い東京入りでしたので、なんの問題もありませんでしたが、冬の雪の日同様、自然にはかなわないことを痛感しました。

 大阪に住んでもうすぐ1年が経とうとしています。大阪といえば、ユニバ(敢えて略語で)、通天閣、海遊館、ハルカス(・・はまだ行ってない・・)たくさんの観光名所があります。歴史的名所も大阪城や四天王寺、住吉大社などありますが、ここにもう一つ大阪が誇るべき、歴史的観光名所があると思っています。それが「適塾」です!





 「適塾」、緒方洪庵に興味を持ったきっかけは、私が手塚治虫ファンであると言えばお分かりになる方も多いと思いますが、「陽だまりの樹」という作品に触れたときでした。10代で、洪庵先生門下のあの方ゆかりの病院に入院中に読んだからでしょうか、数々の登場人物の中で緒方洪庵の存在感は一際大きく感じられました。温厚さ、厳しさ、勤勉さ。手塚治虫先生のタッチを通して伝わるその人間味に深さに魅了されていたのですが、先日やっとその憧れの「適塾」を訪れることが出来ました。

 残念ながら(想像はしていたのですが)、和室や狭い廊下で建物自体が貴重な遺産であるため車椅子は立ち入り禁止でした。しかし玄関で諦めたくはなかったので、這ってまわることにしました。塾とはいっても当時のこと、そうは広くなかろうと思ったのですが、這って回るにはちょっと広かった(笑)さらに2階へ昇る階段、這い上がろうと試みたのですが、想像をはるかに超える見たことのない急さ!!命あっての物種。さすがに諦めました。。資料の写真撮影も大方禁止で、制限の多い自分にとっては見ることが出来ないものが多くやや残念ではありました。(解説の難読漢字にフリガナがないなど、緒方先生のご遺志と功績を多くの方に知ってもらえるよう、来館される子供やお年寄りなどにぜひもっと配慮をしていただきたい!)

 それでも現地に行って、建物の雰囲気、自筆の書に触れ、緒方洪庵先生、八重夫人をはじめ、数々の門下生、若き日の福澤諭吉、橋本左内、佐野常民、大村益次郎、大鳥圭介、高峰譲吉・・・今の日本の医療や思想の礎になった数々の門下生たちの勉強への熱意、熱気、将来への希望を感じられたような気がしました。

 私は、どんな人生も尊いように、反社会的で破壊的なものでない限り、人々が支えあう社会のどんな仕事も本当に尊いと思っています。生産、流通、サービス、等しく尊いに違いありません。そのうえで、敢えて自分自身の人生を振り返ってみると、命を救う医療と、未来を担う人を育てる教育は、特別に、「ありがたい」と感じる分野です。その2つの分野での功労者、日本近代医療の祖であり、近代日本を築いた数多くの人材を育て上げた緒方洪庵、そして適塾は、大阪が、日本が誇る歴史遺産だと思うのです。


 適塾は正式名称を「適々斎塾」といい洪庵の号が適々斎であったことからきています。その「適々」というのは荘子の書物にある「夫不自見而見彼、不自得而得彼者、是得人之得、而不自得 其得者也、適人之適、而不自適其適者也、……。」 <夫(そ)れ自ら見ずして彼れを見、自ら得ずして彼れを得るは、是れ人の得(とく)を得として、自ら其の得を得とせざる者なり。人の適(てき)を適として、自ら其の適を適とせざる者なり……。>からとったものといわれています。訳は「自分の内なるものを見ないで外のものを見、 自分の内なるものに満足しないで外に満足を求めるものは、これは他人の満足を自分の満足として、われとわが身の本当の満足を満足としないものである。また他人の楽しみをわが楽しみとして、われとわが身の本当の楽しみを楽しみとしないものである……。」

 他人の価値観や評価によって自分の道を決めるのでなく、自分の見極めた自分の個性によって信じた道を進んでいく、そんな勇気を持てるよう、日々精進したいものです。

2014年5月のご挨拶

 こんにちは。春の暖かい日差しが心地よい日々が続いてますね。大阪で有名な「桜の通り抜け」に行きました。文字通り様々な種類の桜を楽しみながら造幣局の脇を通り抜けるお酒もお団子もないお花見ですが、春を堪能できました。皆さんは花見を楽しまれましたか?




 まず最初に、お礼とお詫びを一つずつ申し上げます。お礼は、3月末に名古屋大学で行われた『化学オーケストラ定期演奏会』に参加された皆様、聴きにいらしてくださった皆々様、誠にありがとうございました。私にとって化学オーケストラさんとは初めての本番で、名古屋での音楽活動も初めて、学会でのコンサートも勿論初めてと、初めて尽くしのコンサートでした。練習を重ねるごとに、だんだん聴き合える様になって、歌心を合わせられるようになって、本番では皆さんの力が力強く!一つに結集していたように思います。さらにこれからの発展が楽しみなオーケストラだと思います。

お詫びはホームページについてです。毎月読んで下さっている皆様、4月の更新をしないまま5月を迎えてしまい申し訳ありませんでした。名古屋での本番のあと、個人的にいろいろなことが起こり、なかなか文章を書けずにおりました。ご心配をおかけしました。5月から、また心機一転、また新たな気持ちで、このホームページで皆様にご報告できるよう、邁進してまいりたいと思います。




 音楽を離れた話題をひとつ。上の写真は、先月撮った南紀白浜アドベンチャーワールドでのライオンの赤ちゃんとのツーショットです。テレビCMでライオンと触れ合える!?と知って即座に「行こう!」と決めました。生後1か月で多くの人に囲まれて毎日お仕事なんて・・・少し可哀そうかなとも思ったのですが、当のライオンの赤ちゃんは興味津々にちょこまかと動いて実に愛嬌たっぷり、数年後にはあの恐ろしい顔つきのライオンになるとは想像もつかない・・・そのかわいらしさに癒されてしまいました。

 最後にまじめな話題を一つ。現役最高齢の89歳の人間国宝竹本住大夫さんの引退公演となる国立文楽劇場の「菅原伝授手習鑑」を観劇することができました。住大夫さんが語られた「桜丸切腹の段」は特に印象深いものでした。毅然と死と向き合う桜丸、息子の覚悟を受け止める父親、悲痛な妻それぞれの心情を、余計な表現は一切しない、無欲で丁寧な語りから、不思議なほど内に秘めた情の強さ、深さがジンジンと伝わってくる。人形遣いの巧みさと相まって知らず知らず涙がこぼれてきました。

「絶対に百点満点の芸はできません。基本に忠実に素直に語っていたら、そこに何かが出てきて、その何かがお客様に伝わって、泣いたり笑たりしてくれはる。」
68年の舞台を務められた方だからこその含蓄深い言葉だと思います。40歳を前に自分の中の理想と比べたり、若い世代の活躍に焦りを感じてしまう生意気な自分がいます。安易な欲をかかず、けっして慢心することなく、一つ一つの機会を大切に、楽譜に込められた「音楽」に忠実に向き合っていこうと決意を新たにしました。

化学オーケストラ スプリングコンサート2014

日時: 平成26年3月28日(金)16:00-17:00
会場: 名古屋大学豊田講堂ホール(日本化学会第94春季年会S4会場)
演奏:化学オーケストラ
指揮:宮野谷義傑
曲目:ブラームス/ハンガリー舞曲第1番
   J.シュトラウスⅡ/ワルツ「美しく青きドナウ」
   ハイドン/交響曲第100番「軍隊」(全4楽章)
入場無料
  http://homepage3.nifty.com/upward/orchestra/

2014年3月のご挨拶

こんにちは。陽射しの暖かさに春を感じられる季節になってまいりました。大阪で迎える初めての春も楽しみにです。大阪天満宮の盆梅も見事に咲いていました。



まずは、3月28日(金)に名古屋で行われるコンサートのご案内です。名古屋大学で開催される日本化学会第94春季年会で行われる演奏会で指揮を致します。子供の頃から理数系が苦手だった自分にとって、化学オケの皆様との出会いはとても思いがけないご縁でした。化学界で働かれている皆さんの努力によって日常の生活が支えられていることを改めて知ることができる、自分にとって新鮮な分野でオケの皆さんとお話しをすることが毎回とても楽しみです。皆さん、音楽を楽しみながらも真摯に練習に取り組んでくださっています。ぜひとも、学会に来られる化学関係の方、名古屋近郊にお住まいの方、入場無料ですので、ぜひお気軽に聴きにいらしてください。
「化学オーケストラ スプリングコンサート2014」
日時: 平成26年3月28日(金)16:00-17:00
会場: 名古屋大学豊田講堂ホール(日本化学会第94春季年会S4会場)
演奏:化学オーケストラ(日本化学会会員を中心に広く化学関係者によって2002年に結成された音楽団体)
指揮:宮野谷義傑
曲目:ブラームス/ハンガリー舞曲第1番
     J.シュトラウスⅡ/ワルツ「美しく青きドナウ」
   ハイドン/交響曲第100番「軍隊」(全4楽章)
入場無料
  http://homepage3.nifty.com/upward/orchestra/

先月2月15日のMFL管弦楽団のコンサートにお越し下さった方、ご協力下さった方、ありがとうございました。想像をはるかに超えた大雪で、演奏会会場に向かう手だてすら見つからない大変な事態に陥りましたが、心ある方のご
助力でなんとか本番をすることができました。3年前の地震もそうでしたが、災害など健常者にも厳しい条件下では、車椅子の自分は余程の準備と覚悟がなければ、自然の前には無力になることを改めて痛感しました。





MFL管弦楽団とは長いお付き合いになるのですが、今回は特に厳しい条件でした。本番1週間前も大雪でG.P.中止になり、本番の日も交通機関麻痺の上に私もたどり着けず、全員そろってのステリハも中止。コンサート自体の中止も考えうる事態でしたが、ピアノソロの金平さんの情熱的な演奏、そしてオケメンバーの本番の集中力で、よい緊張感の中で音楽づくりができ、忘れえぬコンサートになりました。



本日、3月11日で39歳を迎えることになりました。子供の頃、自ら15歳寿命説を信じていた人間が、思えば随分長い道のりを歩ませてもらったものだと思います。3.11という日は、3年前から、命があるということのありがたさやその使命を強く思い起こさせてくれる日になりました。40代になって自分の信じる「使命」を少しずつでも果たせるように、一日一日、残された時間を使っていきたいと思います。

MFL管弦楽団第17回定期演奏会

MFL管弦楽団第17回定期演奏会

日時: 2014年2月15日(土) 14:00開演(13:30開場)
場所: 府中の森芸術劇場ウィーンホール
曲目: モーツァルト 劇場支配人 序曲
    ショパン ピアノ協奏曲第1番
    シューベルト 交響曲第3番
指揮: 宮野谷義傑
ピアノ: 金平泰介
チケット: 前売り900円/当日1000円
      学生・障害者及び介助者 前売り450円/当日500円

2014年2月のご挨拶

東京も大阪も随分寒い日が続いておりますが、皆さんお元気ですか?先日の大雪の日はその日の朝に東京に到着したのですが、着いた時にはもう一面の雪景色、仕事も延期になり散々でした。昨年末に松江に旅行したときも物凄い雪でしたが、雪質が違うんですね。。松江の雪は粉雪だったので車椅子が雪を掻き分け進むことが出来たんですが、東京の雪は、すぐに溶けてべちゃべちゃになってしまうからでしょうか。。前輪が埋まって、まったく動けなくなってしまいます。雪は本当に車椅子の大敵です。。



まずは、もう目前に迫った2月15日(土)にMFL管弦楽団の定期演奏会のご案内をさせていただきます。14時から府中の森芸術劇場ウィーンホールで行われます。今回は素晴らしいピアニスト、金平さんのご協力を得て、ショパンのピアノ協奏曲第1番を演奏いたします。力強い情熱溢れる演奏になると思います。シューベルトの交響曲第3番も若々しい颯爽とした名曲です。お楽しみいただければ幸いです。12日のニュースによると今週末もなんと雪!!?非常にさみしいコンサートになりかねないので、皆様のご来場をお待ちしております!

今月は、コンサートのご案内のためにも、早く更新しなくてはならなかったのですが、なかなか衝撃的なニュースが続き、どうしても思いが言葉になりませんでした。先月末に、現在の指揮の世界でもっとも自由にオケを歌わすことができた名指揮者、アバドさんがお亡くなりになり、とても寂しい思いでいっぱいになりました。癌から回復されて、音楽にいよいよ凄味が増してきて、去年の来日時にはぜひとももう一度生で聴きたいとチケットを確保しておりました。なんとも残念でなりません。今月は名匠アルブレヒトさんも亡くなられました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

そこに追い打ちをかけるように、佐村河内氏のなんともやるせない、悲しい事件が報道されました。音楽の世界で生きている身として、そして、障害を持つ者として、なにもコメントしないわけにもいかないと思ったのですが、あまりに思いが整理できず、今に至ってしまいました。

街中で坂道など、手伝ってくださった方にお礼を申し上げると、「お互い様だから」とおっしゃってくださることがあります。実際には助けて頂いているのは私ばかりでお互い様ではないはずですが、恐縮している私を察して、さらにお気遣い下さる本当に温かい言葉だと思います。時にはご自身が急いでるにもかかわらず、手を差し伸べてくださる方もいらっしゃいます。その方の前で、自分が突\\然歩き出したら、助けてくださった方はきっと大きなショックを受けるに違いありません。周囲の方の温かい気持ちというのは、本当に文字通り「有り難い」ことです。その場が助かるというだけでなく、生きる勇気に直結するものです。苦難を乗り越えて音楽を作っている彼を応援したいと積極的に彼の作品を取り上げ演奏した人、被災地の方、自らが病気にもかかわらず応援活動された温かい方々の心が裏切られる結果になってしまったことが悲しくてなりません。

私は、人が音楽を作り、人が音楽を演奏する以上、その人の人間性が音楽に反映されると信じています。その人の生き様や信念は少なからず、その人の作品や演奏に影響を与えると思っております。あらかじめ申し上げますが、障害の有無が、特別に芸術的価値に影響が与えるとは少しも思っておりません。なぜならどんな人間も生きていく以上、様々な悲しみや悩み、苦難と向き合わなくてはならないからです。大切な事は、その人が困難の中でどう音楽と向き合ったかなのです。その結晶が作品であるからこそ、一つ一つの音楽は、個性を持ち、その輝きを失わないのだと考えています。ですが、昨今、音楽だけでなく、芸術や文芸の世界で、ゴーストライターは実は暗黙の了解であることだといいます。芸術は、その人が時を超えて多くの人の心へ贈る手紙のようなものだと思っています。受け取った手紙が実は代筆だったというくらい、その作品から感動を得た人にとっては、ゴーストの存在はやはり裏切られた感はぬぐえないと思います。芸術に携わる人間として、受け止めてくれる人の心を裏切ることのないよう、心がけてまいりたいと思います。

最後に、先月末、上方文楽の桐竹紋臣さんの実演に触れる機会がありました。表情の変わらないはずの人形が、ほんの少しの仕草の積み重ねによって、美しくも豊かに感情表現される。いつのまにか人形が生身の人間を超えるかのように、見る人に切々と共感を呼び起こす。足遣い、左手遣いの人の阿吽の呼吸のすさまじさ。人形遣いの方の恐ろしいほどの繊細な芸に、自然と涙があふれてまいりました。人の心を打つ芸術とは、本当に奥が深く、生半可なものではないことをまざまざと思い知らされました。

今後とも気が遠くなるほどの長い道のりですが、それでも自分の道を焦らず一歩ずつでも歩んでまいりたいと思います。

2014年 新年のご挨拶

皆様、明けましておめでとうございます。お正月はいかがお過ごしでしょうか?私は初めて、大阪で新年を迎えることになりました。幼稚園にあがる前から東京育ち。去年の今頃は東京都日野市におり、まさか関西で次の年越しを迎えるとは夢にも思いませんでした。ですが、新天地での新年は、自分の知らなかった新鮮な世界が開かれるようで、2014年の自分にわくわくした気持ちでおります。
除夜の鐘を齢延寺の鐘桜門で撞いて、新年のお屠蘇を聖徳太子さんのお寺、四天王寺でいただいてまいりました。関西ならではの歴史の深さ、風情を味わうことができました。

 2013年の年末には、念願だった出雲大社に行ってまいりました。東京からだとかなり遠いイメージでしたが、大阪からならそんなに遠くないかも!?ということで例の如く、JRの深夜バスで向かいました。
早朝に出雲大社に到着し、まだ参拝の方がほとんどいない静寂の中、神聖な気持ちでおまいりすることが出来ました。次の日から雨や雹、大雪に見舞われ大変でしたが、出雲大社にいる間は不思議と静かな天候で助かりました。 出雲大社は「縁結び」で有名ですが、自分はこの「縁」にとても恵まれた人生を送っていると常々感じているので、まずは感謝の気持ちをこめてお参りしてきました。

  自分の「今」は、本当に多くの方との出会いとご好意によって支えられてこそ、迎えられた瞬間だとことあるごとに実感しています。両親が出会い、自分が誕生したこと、交通事故にあって生き延びたこと、音楽に出会い、指揮を志したこと。そして大切な人との出会い。ひとつひとつが今の人生に欠かせない奇跡の「縁」のつながりのように思います。そして、昨年は、たくさんの新しい音楽、新しいオーケストラの皆様との出会いがありました。ゆっくりと、でも、加速度的に、自分の世界がまた一つ広がったようなそんな一年だったと思います。

ひとつひとつのご縁に感謝を忘れず、人の「心」を大切にしながら、2014年も一歩ずつ精進してまいりたいと思います。

本年もどうぞ宜しくお願い致します。