ホームページお休みします

 こんにちは。大変突然で申し訳ないのですが、「宮野谷義傑」のホームページは、更新をお休みし学業に専念するため、一度閉鎖させていただくことにしまし た。2003年以来、6年間、このホームページは、最初に製作してくださった濱田氏をはじめ、本当に多くの方のご支援を賜り、また、ホームページを通じて いろいろな方とお知り合いになることができ、そして充実した指揮活動をすることができました。心より御礼申し上げます。

 これまでの経験を生かし、今の自分の壁を乗り越えさらに飛躍するべく、現在決定している演奏会以外、演奏活動を自粛し、今後しばらく勉強に専念いたしま す。まことに勝手ながら、大きな夢を実現するための充電時間として、ご理解賜りますよう、心よりお願い申し上げます。指揮の先生が、「夢を実現するための 努力をするということは、それはすでに夢の実現することそのものなのだ」とおっしゃって下さいました。そのお言葉を胸に頑張っていこうと思います。毎月の 更新を楽しみにしてくださっていた方、私の消息を気にかけてくださっていた方、一方的なお願いで大変恐縮です。皆さんの存在こそが私の勇気であり、力で す。どうぞ今後ともお見守りくださいますよう、重ねてお願い申し上げます。

宮野谷 義傑

2008年11月のご挨拶

こんにちは。随分涼しくなってきました。抜けるような青空の下、街路樹の葉もだんだん赤く染まってきて、冬の足音が聞こえてきました。気がつけばも う11月。時が経つのは本当に早いもので2008年も残すところあと2ヶ月です。あと2ヶ月、なんとか充実して過ごしたいものです。

定期的 にご覧くださっている方、ご挨拶の更新を1ヶ月さぼってしまい、申し訳ありませんでした。先月は突然涼しくなったためか、体調を崩してしまったり、精神的 にスランプ状態に陥ったり、日々の生活をこなすことに精一杯になってしまいました。忙しかったのですが、やはり体調を崩してしまうと充実感もなかなか味わ えないものです。やはり、一番大切なのは、心と体の健康だと実感します。

これまで、私が精神的に、肉体的に厳しい状況に追い込まれたとき、 救ってくれたのは、周囲の温かい人の存在と「音楽」でした。モーツァルトの温かさと悲しさ、ベートーヴェンの葛藤と喜び・・・他の尊敬する素晴らしい数々 の作曲家の音楽・・・音楽そのものが持つ「人間らしさ」がいつも傍にいてくれたような気がします。自己嫌悪、死の恐怖、孤独感、絶望、きっともっと深い苦 しみを知っている人の言葉のような力強さ、温かさこそが素晴らしい音楽の魅力なんだと私は信じています。だからこそ、私は音楽を演奏する道を選んだのだと 思っています。

しかし、改めて言うまでもないことですが、音楽を職業としようということは、なかなかに厳しいものです。作曲家が人生をかけ て書き残した音符を音にするということが、どんなにか重い作業なのか、折に触れて思い知らされます。しかも指揮者にいたっては自分で音を出すわけではな い、時には自分では弾けない楽器を極めた奏者に自分の望む音を出していただかなくてはならない。自分のやろうとしていることの遠大さに改めて気づいたと き、いままで勇気付けてくれた音楽の大きさ、奥深さに苦しんでいる自分がいます。よくできた音楽であればあるほど、なにかやろうとすればするほど泥沼には まるような状況にもよく出会います。

そんな音楽に苦しめられている状況で、自分はいったい何に救いを求めたらいいのか迷うこともあります。

「逃げない」これが今の私のテーマです。本当に大切に思うなら、そこから逃げてはいけない。音楽で苦しんでいても、今まで支えてくれて自分にとって大切な音 楽、どんなささいなことでもごまかしや目を瞑ることで逃げてはいけない。当たり前のことで、口で言うのは簡単ですが、実に厳しいことです。大学を卒業して 活躍されている先輩指揮者がおっしゃってました。「スランプに陥ったときは、ひたすら楽譜に戻る。」そのとおりだと思いました。きちんと突き詰めていけば 音楽がちゃんと方向性を示してくれる、そういうことだと思います。

先日、私の所属するあるアマチュアオーケストラの打楽器の方がお亡くなり になりました。ついに親しくお話をするようなことはなかったのですが、いつも誠実に、ティンパニを叩いておられた姿が思い起こされます。思えば、今、命が あって、音楽を演奏できる、楽しむことができる、そのこと自体、なんとありがたいことなのでしょうか。改めて、心よりご冥福を申し上げます。

2008年9月のご挨拶

やっくんおつかれさま菓子
こんにちは。9月の更 新、遅くなってしまって申し訳ありません。暑い夏、突然の雨にやられながらも、私は元気にしております。ここ数日はやっと暑い夏も雨続きの日々も一段落し て涼しくなってきました。皆さん、今年の夏はいかがでしたか?私は、温泉でのんびり・・・なんていう旅行はかないませんでしたが、指揮者として、大変素晴 らしい出会いをいただき、音楽の方は充実した日々を過ごすことができました。

私は四季の中で秋が一番好きです。食欲の秋、芸術の秋、そして 美しい紅葉。本当に気持ちが安らぐ季節です。でも今年の秋は、先日の福田首相の突然の辞任発表があって、自民党総裁選、そして総選挙と、どうやら政治の方 があわただしそうです。このところは「安心実現」どころかお米も安心して食べられない、子供を巻き込む殺人事件増加、年金もデータが不明瞭、石油などの物 価高騰、株価暴落、少子高齢化・・目もくらむばかりの数多くの問題が山積している状況下で、政局まで不安定では本当に先行き不安です。

先日 立ち読みで小泉元首相の本を読みました。クラシック音楽にも造詣が深く、ヴァイオリンも演奏されていた小泉さん。「首相と指揮者は似ているか」という質問 に、指揮者は多少の意見の相違があろうとも、最終的にはよい音楽を作ろうという方向性をもってオケと指揮者は一丸となるけれど、首相には、野党や派閥など の反対勢力というものが存在し、いくら頑張っても足を引っ張り合って国会を同じ方向でまとめることができない、という文がありました。それが民主主義政治 の現実なのでしょう。でもあまりに残念なことです。国家の危機とも言うべき状況にあるとき、政党や派閥という小さな枠組み、利害に縛られずに、大きな目標 に向けて、互いに意見、知識を持ち寄り、団結して乗り越える・・確かに理想論には違いないけれど、そういう新たな政治がそろそろ必要なのではないかと思い ます。

選挙で一番嫌いなのは「選挙カー」「街頭演説」です。街中で、大きな名前でひたすら候補者の名前を連呼する選挙カー。朝から駅前、住 宅街、オフィス街で行きかう人に向かってマイクで叫ぶようにひたすら話し続ける街頭演説。あれは、あまりに時代にそぐわないし、政治家として、あまりに無 神経ではないかとおもうのです。夜の仕事をしてやっと朝眠りについた人がいるかもしれない、不眠症で眠れない人がやっと眠れた・・という人がいるかもしれ ない、もしくは録音や音楽の作業をやっているひとがいるかもしれない。少数派であっても、そういう人たちの生活を、政治家だからといって踏みにじってもよ いのでしょうか。それだけ迷惑をかけながら名前を連呼しても、いい結果を呼ぶとはどうしても思えません。テレビやラジオでの演説や地域の公民館での講演 会、インターネットなど、聞きたい、知りたいと思う人が選択できる場所、媒体を当然選ぶべきだと私は思います。

小泉元首相が国民から人気が あった理由は、彼自身の考えや意見を明確に、彼自身の言葉で熱意を持って述べていたことにあるように私は思います。それは、彼が学生時代に音楽、ヴァイオ リンの演奏をやっていたこともおおいに影響しているのではないでしょうか。音楽でも、政治でも、自分の表現したいことを、熱意を持って伝えることはとても 大切なことです。日本の新しいリーダーは、ぜひ自分の言葉で信念を語れる情熱、そして少数派の存在にも気がつく繊細さ持ち合わす人であってほしいと思いま す。
なんだかとりとめのない話になってしまいました。今年の秋が、選挙カーなどでうるさいだけ、政党同士の足の引っ張り合いでおわるのではなく、本当に実りの多い秋であってほしいと願っています。

2008年8月のご挨拶

近くの公園にてd51と
毎日、じめじめとした湿気と強い日差しにぐったりとしそうなくらいの暑い日が続いていますが、皆さんはお元気ですか?

今月は北京オリ ンピックに夢中な方も多いかもしれません。ヨーロッパで開催していた年は、時差の関係で、夜中の生中継を見ることができた、日中お仕事をされている方も、 今回はなかなか見られないのではないでしょうか(寝不足にならずにすむのはよいことなのですが・・)。僕は、水泳の北島康介選手の大活躍に心を打たれまし た。。彼は同じ文林中学校出身、いわゆる「後輩」なのですが、とんでもない!物凄い精神力とたゆまぬ努力にただただ感服するばかりです。とかくメディアは 結果、メダルに言及しますが、どんなスポーツもそこまでの努力と本番、追い詰められた時の精神力こそが、感動を呼ぶのだと改めて感じました。

先 日の終戦記念日に、かしわ哲さんのインターネットラジオkizznaのアーティストへの熱い呼び掛けで、「平和を叫ぼう」というイベントに参加してきまし た。世界唯一の被爆国である日本のアーティストこそ、もっと音楽活動を通して、戦争の悲惨さ、平和の重さ、命の尊さを世界に先駆けてアピールしていくべき だという情熱と、かしわ哲さんのお人柄に魅かれてなにかお力になれるならと思って代々木公園に向かいました。

参加されたほかのアーティスト は、ロックやポップのミュージシャンの方々で、すばらしい歌声をお持ちだったり、ギターやハーモニカ、パーカッションをされる人ばかりでした。でもこんな 時、自分で音を出すことのない指揮者というのは実に!無力です。今回は、いつも持ち歩いているリコーダーで参加させていただきました。最近、人前でリコー ダーを吹くこと、しかも路上ライブなんてあまりしたことがなかったので緊張しました(言い訳・・)。でも夏の青空に吸い込まれていくリコーダーの音色は、 自分で吹いていても気持ちよかったです。ジャンルを超えて素敵なアーティストの方々とお知り合いになれたことも貴重な時間でした。

「一人の 人間が世界平和を願う」、それはあまりにも規模の大きい願いでもあり、ある意味、自分の力をみていない現実逃避であるような気がしていました。人間が生き ていく以上、民族、宗教、政治の問題がなくなることはなく、そしてどんな人間も絶対に自分の命、家族の命を守る、そして生活をより豊かにしたいという欲が ある以上、争いは無くなることはないのではないか、そういう冷めた考えも持っていました。

でも、だからといって、あきらめて我々アーティストがなにもしないというのは間違っていることに気づきました。確かに、音楽家には、政治上の問題、民族の紛争に対してなにか具体的な解決策も持ち合わせているわけではありません。

で もアーティストは持ち合わせているはずです。戦争に苦しみ、死んでいった人の悲しみ、無念さを察する感性や想像力を。そして、それを音楽、絵画によって、 文化や言葉の違いを超えて人の心に訴える表現力を。なにより、芸術を通して、人間を愛し、互いに理解し信じることの素晴らしさも知っているはずです。
その日、シンガーのsawakaさんが歌ってくれたジョン・レノンの「イマジン」の歌詞に私ははっとさせられました。
You may say I'm a dreamer
but I'm not the only one
I hope someday you'll join us
and the world will be as one
な んだ、夢をみたっていいじゃないか。いや、アーティストはむしろ夢をみるべきなんじゃないかと。そりゃ、世界から、個人レベルでも、決して「いさかい」は なくならない。でも、だからといって、何よりも尊い命を奪い合うことはないじゃないか。罪のない子供たちを巻き込むことはないじゃないか。愛する人の死は 誰だってなによりも悲しい。文化は違えども同じ人間なのだから、芸術を通して感動することが同じように、きっといつかはお互い理解しあえる、その夢に向け て、暴力ではなく相手を理解しようと努力し続ける、そんな「平和」への理想を、胸をはって訴えかけていくことにこそ、意味があることに気づくことができま した。

来年の8月15日は、賛同してくれる演奏家の皆さん(プロ、アマ問わず)と一緒に参加できたら嬉しいなと思います。(本業の指揮で参加をしたい!)ぜひ声をかけてください!

2008年7月のご挨拶

クワガタのかずのり君

こんにちは。じめじめと湿気の多い暑い日が続いていますが、皆さんはお元気ですか?ウィーンでの夏は日差しが強くて暑い、という感じでしたが、東京 の夏は、湿気がじわじわ体力を奪っていく感じで、電気代節約しなくてはと思いながらも、どうしても我慢できずにクーラーをつけてしまう夜が続いています。

先日、住んでいる団地の廊下でコクワガタを発見し、なんだか子供の頃の友人に再会したような気持ちがして、我が家にご招待して、一緒に暮らしていただくこと にしました。発見当初は弱っていて元気がなかったのですが、おがくずや餌のゼリー(栄養剤入り!?)を買って、元気にしています。名前を呼んだら駆け寄っ てくる!・・・なんてことはないのですが、どこか愛らしいです。

夏になると思うのですが、電車の中のクーラー、どうしてあんなに強いので しょうか。ラッシュ時はちょうど良く感じられることは確かなのですが、すいている時間帯でも同じ設定のような気がします。弱冷房車というのもありますが、 いちいち選んで車輌を乗ってませんし、半袖で寒くていられないほど、というのはこのエコの時代、少し考え直しても・・と思ってしまいます。(ま、クーラー が夏の恋人と公言している僕が言えることではないかもしれませんが・・・)

先月、小学校時代の恩師が校長先生を勤められている、江東区の小学校に伺って、お話と音楽会をさせて頂く機会がありました。全校生徒700名という元気な子供達との素晴らしい出会いでありました。

小学校時代の先生は、初めて運動会に参加させてくれたり、夏休みにプールの体験をさせて下さった、前向きなエネルギーに溢れた先生でした。クラスの歌を作っ たり、先生のギターでみんなで歌ったり、音楽がとても好きな先生でもありました。そして、先生から挑戦することや一生懸命やることの大切さを、知らずしら ずのうちに教えていただいたと思っております。

今回、先生にお招きいただいたので、せっかくなので生演奏の音楽にも触れてもらいたいと思っ て、東京音大の有志の方々にご協力頂きました。(ありがとうございました!)そして音楽を交えつつも、先生から小学校時代に伝えていただいたことをぜひみ んなにもお伝えしたい!と思って、
  • 自分が本当にやりたいことを一生懸命探して欲しい
  • 夢を見つけたら、あきらめないで欲しい!
というお話をしました。

当日、とても嬉しい誤算がありました。それは、僕の想像以上に明るく元気一杯な子供達の笑顔、圧倒的なパワーでした。当日は1年生から6年生まで700名以 上のみんなに集まってもらいました。僕がなにか質問を投げかけると、みんな元気に答えてくれる、指揮者を体験してみたい人いますか?とみんな目をきらきら と輝かせて一斉に手を上げてくれる!みんなで歌う時は、弦楽器の伴奏が聞こえなくなるくらい元気な声で歌ってくれました。(「となりのトトロ」の歌詞、一 番しか用意してなくてごめんね・・)。近年、子供達を囲む暗いニュースが多く、少し心配だったのですが、さすがは先生が校長先生をされている学校の子供 達!みんなちゃんと自分の意見や感想も言えるし、積極的に挑戦できるお子さんばかりで、本当に嬉しくなりました。でも演奏が始まったとたん、みんな一瞬で シーンとなって音楽を聴きいってくれました。

そんなまぶしいくらいのまっすぐな気持ち、好奇心、エネルギーを子供達がちゃんと持っていてくれたことに、今回僕の方が勇気付けられました。
アンコールで、「星に願いを」を演奏しました。

心から願いを込めてその歌詞の一部をここに載せたいと思います。
星に願いを懸けるとき
誰だって
心を込めて望むなら
きっと願いは叶うでしょう
心の底から夢みているのなら
夢追人がするように
星に願いを懸けるなら
叶わぬ願いなどないのです。

江東区立枝川小学校 講演

日時2008年6月28日(土) 13時30分開演
会場東京都 江東区立枝川小学校
演奏東京音楽大学 弦楽器奏者有志
指揮宮野谷 義傑
演奏曲目当日発表
備考一般のご入場は不可です。

立川管弦楽団 第54回定期演奏会

日時2008年6月22日 14時開演
会場立川市市民会館(アミューたちかわ) 大ホール
演奏立川管弦楽団
チェロ独奏ラチェザール・コストフ
指揮古谷 誠一
演奏曲目
  1. ドヴォルザーク 序曲「自然の中で」
  2. ドヴォルザーク チェロ協奏曲
  3. シベリウス 交響曲第2番
チケット1,000円(全席自由:5月17日発売予定)

2008年6月のご挨拶

東京音大オケ練習の写真
こんにちは。雨の季節になりました。私の通う学校は池袋駅から徒歩13分位なのですが、行きは下り坂なので、小雨の中、突っ切るようにして通ってい ます。車椅子を運転する時は傘が持てないので、雨の日は厳しいのですが、でも、それまで降っていた雨が出かけるときだけちょっと小止みになっていたりする と、少しだけ幸せな気分になったりもします。(逆も。。ありますけどね)
巷に雨が降るごとく・・・先月は個人的にかなり精神的に厳しい月で ありました。個人的な音楽の問題、体調、人間関係、積み重ねてきたものが、もろくも崩れかける残酷な瞬間、いろいろな問題を抱えてかなり苦しい時間もあり ました。でも、そんな時こそ、人の温かみや優しさ、音楽の力、言葉の力を強く感じることができる大切な時間のような気がします。音楽仲間の前向きな思い、 中学校の恩師や旧友との再会で蘇る大切な思い出、初心、ひとつひとつにいとおしさを感じます。

先月、いつもお世話になっているインターネッ トラジオKizznaで、バリアフリーロックバンド「サルサガムテープ」のリーダーのかしわ哲さんがパーソナリティをされる「One Small World 僕たち私たちのLOVE&PEACE」にゲスト出演させていただきました。実は、あまり心に元気のあるときではなかったので最初どこ かトーンが低めだったのですが(申し訳ないっ!)、かしわ哲さんの包容力のある温かい進行の中で、私の音楽への愛情、自分の原点に関して、自分の心の根っ この部分でお話をさせていただいて、自らの人生への推進力というか、大切な信念をあらためてくっきりと思い起こさせていただきました。そして、かしわ哲さ んの力強い、心のこもったエールに力を得ることが出来ました。あらためてかしわ哲さん、その愛情の奥深さに頭が下がる思いがします。
詳細はラジオのページをご覧下さい。

先日は、東京音楽大学に通い始めて、初めてのオーケストラを振る授業がありました。昨年まで私は、1年間、ウィーン国立音楽大学に聴講生として通い続けて、 正規学生の方々のオーケストラ練習を見学していました。もちろん見学の中で、たくさん得るものがありましたが、一方で自分が指揮台に立てない、僕ならこう するのに指揮をさせてもらえない!!という思いが募っていました。今、あらためて日本の音楽大学に通って、ともに音楽を勉強している学生さん達が演奏する オーケストラの前に立てた瞬間のあの幸福感はなんともいえないものがありました。プロを目指す真摯な演奏者の方々との積極的な音楽作り、コミュニケーショ ン。目と目が合ったときの心の会話。素晴らしい音による回答!やはり、指揮ができることはありがたく、幸せだと感じました。

月並みではありますが、今月も頑張っていこうと思います。

P.S.今月は僕がクラリネットで参加している立川管弦楽団のコンサートです。
よろしければぜひお出かけください!

2008年5月のご挨拶

部屋からの夕焼けの写真
こんにちは。青葉が美しい季節になりました。今住んでいるところは地上7階で見晴らしがよく、少し離れたところに昭和記念公園もあり、大きく広がる新緑の景色に心が癒される思いがします。(毎朝起きると、ついぼんやり外を眺めてしまいます。)

あっという間にG.W.も終わってしまいましたが、皆さんはいかがお過ごしだったでしょうか?天気予報では、晴れの日が多い予報だったのに、なんだか曇りや小雨の日が多かったのが残念でした。

私は、3日に大きなホームセンターに行ってきました。本棚を作るための木材を買うのが目的です。中学校の「技術」の授業で椅子作りを経験した時、満足に釘も 打てず、のこぎりで切るのも曲がってしまう、そんな有様で先生に手伝ってもらった記憶がある私ですが、DIYに興味を持つ私の相方の影響で、先月1×4材 でテレビ台を製作したところ、思いのほか楽しく、簡単できれいに仕上がったのでびっくり。(木材はあらかじめホームセンターで切ってもらったので、組み合 わせるだけでよいのですから当たり前かもしれません。。)家の家具が、本物の木で、かつ手作りで自分の欲しい寸法で出来ていく、なかなか魅力的な趣味だ と、柄にもなく思っています。次は本棚兼勉強机に挑戦です。(まだ設計段階ですが)

5日には、ラ・フォル・ジュルネ音楽祭に行ってきまし た。日本を代表する二人の弦楽器奏者、ビオラの今井信子さん、ヴァイオリンの庄司紗矢香さんの演奏を聴きました。午前中は今井信子さんの深い味わいのアル ペジオーネ・ソナタ。ビオラでこの曲を聴いたのは初めてでとても新鮮でした。夜10時半からの庄司さんのシューベルト、帰国して初めて、久しぶりの庄司さ んのコンサートでしたが、ピアノの小菅さんと共に、凛とした中にも、生き生きと明るく、楽しそうに音楽が紡ぎだされていく、すがすがしさが印象に残るコン サートでした。終演が11時20分と終電での帰宅となったしまいましたが、とても充実した一日でした。

私は、今年から10年ぶりに学生に戻って、週3回ほど東京音楽大学に通学しています。10代や20代初めのエネルギーに溢れた学生の皆さんに混じって、指揮を勉強しています。改めて満員電 車の恐ろしさも体験しています。それでも、自分にとって、初めての「音大」体験、たくさんの素晴らしい先生方、才能ある学生の皆さんと触れ合い、刺激的で 充実した日々を過ごしています。日々の生活の中で、人間関係、自分の体調、そして将来と、数々の心配や不安と戦いながらも、それでも毎日、自分の愛する音 楽に集中できる環境にあるというのは贅沢で素晴らしいと、改めて思っています。

2008年4月のご挨拶

ヤクルトスワローズの試合の写真
こんにちは。まだまだ朝晩冷えますが、早くも桜が満開になりました。皆さんはお花見とか楽しまれましたか?私はこの数週間、まったくついていない日 が続いています。先月の誕生日の前後1週間は、突然肩や首が痛くなり、日に日にひどくなりまったく動かせなくなったり、それがやっと治ったかと思うと、こ こ数日、今度は謎の発疹が手足に無数に出て、どんどん広がって、かゆさに悩まされています。季節の変わり目のせいでしょうか。病院にいっても原因不明で、 なんだか鬱々とした散々な春を過ごしています。

春といえば、プロ野球の季節が始まりました。私が小学生の時から応援している我らがヤクルトスワローズ、去年は最下位に低迷してしまいましたが、今年は開幕から絶好調で幸先の良いスタートを切っています。

私はいわゆる「弱い」けれど「強くありたい」というチームが好きです。パリーグで言えば楽天、相撲で言えば舞の海です。私がヤクルトファンになった小学校4 年生の頃、スワローズは2年連続最下位でした。テレビの巨人戦で見る当時のヤクルトは本当に弱く、個々の選手は精一杯やってるのに負けてばかり。まさに負 けっぱなしなのにでも、悲壮感はあまりなく、明るさや若さが印象に残るチーム。いらいらもするけれど、どうしても応援したくなる。一つでも勝ったらものす ごく嬉しくて、気づいたらヤクルトファンになっていました。

去年最下位だったのに、ヤクルトのエースと4番が去年優勝した某球団に移籍し、 いよいよ厳しい状況に追い込まれたスワローズ。前評判はどの解説者も厳しい評価でした。まだ始まったばかりですが、それでも若手の活躍や足の速い選手の活 躍で躍進しています。もともと判官びいきではじまったスワローズファンとしては、野村監督の時以来の痛快なシーズンになりそうです。

私は、 ヤクルトを応援しながら、自分のハンデを実感したり、壁にぶつかったりする自分を重ねて、自分にエールを送っているような感じがしています。長年ヤクルト を応援して学んだことでもあるのですが、私は、弱者が強いものと対等に渡りあえるようになるために、大切なことが3つ、あると思っています。
  1. 『自分が弱者である現実を認め、背伸びをせず、謙虚に学び続けること』
  2. 『自由な発想で、自分の強み、良いところを最大限生かすこと』
  3. 『動機を強く持って、なにがあっても諦めず、誰よりも長く、経験を積み重ねること』
スワローズの今シーズンの躍進を応援しつつ、自分も指揮者として勉強や経験を積み重ねて、一層自分を磨いて飛躍していきたいと思っています。

2008年3月のご挨拶

MFL管弦楽団演奏会の写真
こんにちは。最近は日に日に暖かくなっていく実感が嬉しい季節ですね。春が来ると本当に四季のある国に生まれてよかったと思えます。確かに冬の寒さは苦手ですが、辛さを突き抜けたところに喜びがあるのだと、改めて実感します。
(花粉症の方はご愁傷様です・・明日は我が身かもしれませんが)

大変遅ればせながら、2月10日のMFL管弦楽団にご来場下さった皆様、ありがとうございました。前日がすごい雪で寂しいコンサートになりはしないか心配 だったのですが、当日はMFL史上初のお客様300人超。ピアニストの久元先生のエネルギー、団員一人一人のエネルギー、そしてお客様の大きなエネルギー が一つになって、ベートーヴェンの爆発的エネルギーに相応しい熱いコンサートになりました。ご来場、本当にありがとうございました。

さて、 私事で恐縮ですが、今月33歳になります。去年、ウィーンで迎えた誕生日から1年。ウィーンでの極上の音楽体験、勉強上の挑戦と挫折の繰り返し、ラジオへ の挑戦、コンサートの成功と波乱に満ちながらも、なかなか充実した32歳の1年でした。(おなかの肉もいよいよ充実して大変なことになっています。)

33 歳の1年、著名な占い師の方によると「おとなしく嵐が過ぎ去るのを待つべき」1年らしいのです。でも、そんな悠長なことは言っていられる身分ではないこと は自覚しています。ついてない人生も今にはじまったことではありません。(といいつつ、久しぶりにコンサートの予定が全く決まってない状態で少々不安です が・・お仕事募集中です)

年明けに表明した今年の抱負「地道に、謙虚に音楽に指揮に取り組む」に向けて、来月4月から東京音楽大学の大学院 指揮研究生として、久しぶりに学生に戻って2年間、勉強する機会を得ることが出来ました。久しぶりの受験勉強、入試、むちゃくちゃ緊張しました。既に何度 かレッスンの様子を見学させていただいたのですが、素晴らしい教授・講師陣が一丸となり、そして真剣な学生が互いに切磋琢磨しあい、そして先生と学生の同 じ目標に向かってタッグを組む素晴らしい学びの環境でありました。そこで自分も学ぶことができることが非常に嬉しく、今から楽しみです。この歳で学生をや る以上、最後のチャンスと思って、謙虚に、好き嫌い、得意不得意を問わず、すべてを貪欲に吸収していく覚悟をもってのぞんでいきたいと思います。

「音楽家は一生勉強」とよく言われます。多くの作曲家が魂を込めて作った名曲が星の数ほどあり、そしてその曲をより美しく、より深く音楽にすることが仕事である以上、勉強すること、悩んで悩みぬいて試行錯誤し続けることは、天才でもない限り、ある意味当然なのだと思います。ただ勉強することは机上の空論ではな く、常に演奏と直結していなくてはと思います。実践である音楽活動と、その土台作りとなる勉強。平行してどちらも妥協なく取り組んでいきたいと思います。

ピティナ・ピアノコンペティション 入賞者記念コンサート

日時2008年2月11日(月・祝) 18:30開演
会場立川市市民会館(アミューたちかわ) 大ホール
演奏立川管弦楽団
ピアノ独奏関本 昌平・コンペティション入賞者
指揮古谷 誠一
演奏曲目
  1. モーツァルト/ピアノ協奏曲第21番ハ長調KV.467(全楽章)
  2. モーツァルト/ピアノ協奏曲第23番イ長調KV.488(第1楽章)
  3. チャイコフスキー/ピアノ協奏曲第1番変ロ短調作品23
チケット3,500(全席自由)

MFL管弦楽団 第7回定期演奏会

日時2008年2月10日(日)14:00開演
会場三鷹市芸術文化センター 風のホール
演奏MFL管弦楽団
ピアノ独奏久元 祐子
指揮宮野谷 義傑
演奏曲目
  1. ベートーヴェン/コリオラン序曲
  2. ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番「皇帝」
  3. ベートーヴェン/交響曲第7番
チケット一般 前売:800円 当日:1,000円
学生・障がい者及び介助者 前売:400円 当日:500円


約 一年半ぶりのMFL管弦楽団の指揮、久しぶりの実践ということで、試行錯誤を重ねながらのリハーサルでした。リハーサルの期間も約4ヶ月、ベートーヴェン の大曲が3曲という「挑戦」とも言うべきプログラム、そしてヴィオラ、ファゴットに正規団員がいないという厳しい状況の中、ピアノ独奏していただいた久元 先生のご協力の下、みんなで一丸となって迎えた本番でした。

雪の日の翌日にもかかわらず300人を越えるお客様にご来場いただき、非常に熱 のこもったコンサートになりました。私も最後の最後まで体力の最後まで音楽に注ぎ込むような演奏をすることができました。オーケストラとしても確実に進歩 していることを実感できるコンサートでもありました。MFLの演奏に興味のある方、ぜひご参加ください!

2008年2月のご挨拶

MFL管弦楽団演奏会ちらし
こんにちは。最近雪が降って寒い日が続いていますが、皆さんはいかがお過ごしですか?去年のウィーンは暖冬で気温こそ東京よりも低かったのですが、 ほとんど雪は降りませんでした。家の中も不思議なくらい温かかったので、今年の冬の方が寒さを厳しく感じるような気がします。(ちなみに今年のウィーンは 相当寒いようです)

先月、とても悲しい知らせがありました。予備校時代の親友が突然亡くなってしまったという知らせでした。彼はエネルギー に満ちた笑顔と優しさが印象的な人で、大学受験、浪人時代をとても楽しい一年に変えてくれて、いつも励ましあった友人でした。勉強に集中しなくてはいけな い時期でしたが、時に恋愛相談だったり、いつも笑って過ごしていたような一年でした。

彼も音楽愛好者でパーカッションをずっとやっていて、 「いつか一緒の舞台でやろうな」と言っていましたが、大学、就職、年を重ねるごとにだんだん疎遠になってしまい、結局年に一度、連絡を取り合うか取り合わ ないかまでになってしまいました。共に音楽を楽しむ夢も叶わぬままになってしまいました。

お互いの人生があるから、それはある意味当然、か もしれません。でも今、私は彼と疎遠になってしまったことを悔やまずにはいられません。当時の楽しかった思い出を共に振り返ることも出来ず、今の心の悩み や愚痴を交わすこともなく、33歳の若さで突然永久の別れとなってしまったことが残念でなりません。どうしてもっと言葉を交わしておかなかったか悔やまれてなりません。

旧友はどこかできっと元気でやっている、そう勝手に信じて、互いの人生に交わるところがなくなると、離れてしまう。人生は互 いに違っても、孤独や葛藤、自己嫌悪と戦う人間同士、友人なら、どこかで接点を持ち続け、心を通わし続けていようと思いを新たにしました。その人にとって 自分がどれほど影響力を持つか自信はありません。自分の可能性を過信するつもりもありません。悲しいほど無力な自分がいることも事実です。それでも、心を 交わすことこそが互いに生きる意味であるような気がします。

今月10日はMFL管弦楽団のコンサートです。今回はベートーヴェンの力強い3 曲をとりあげる演奏者にとっても、聴く側にとっても、とてもエネルギーの要るプログラムです。ベートーヴェンの音楽は、周知の通り、ベートーヴェン自身、 病気や孤独、愛情、金銭、誇り、深く苦しみ葛藤、絶望を生き抜いた人間です。時を越え、私たちと共に苦しみ、共に喜ぶような、「いまを生きる」人間全ての 人へのエールこそが彼の音楽の本質だと思います。私はまだまだ、人間として、音楽家として、発展途上で未熟な身でおこがましいことではありますが、それで も、少しでもコンサートでいらした皆さんと彼の熱い思いやエネルギー、生きる力を共有することができたら、こんな嬉しいことはありません。

寒い中ではありますが、もしお時間がございましたらぜひお越しください。

2008年1月のご挨拶


2008年の年賀状画像
あけましておめでとうございます。今年の正月は、日本でのんびりと、といきたいところですが、諸事情により勉強に追われる毎日を過ご しています。今年、2008年は、1年間ウィーンで経験して広がった自分の感覚や視野を活かすために、そして自分の中で明確になった足らない部分を補うべ く、あせらず、地道に自分の土台固めの年としたいと考えています。

今年の3月で私は33歳になります。33歳といえば、指揮者としてはまだ まだ若手、いや、かなり若手と言われます。(40代でも50代でも若手と言われる業界ですが)しかし、立派に会社に勤め、自分の力で自分を支え、自分の居 場所を確保している同年代の友人に会うたび、焦りとも、自己嫌悪とも言えるような感情にとらわれることがあります。だからといって友達に会いたくないわけ ではありません、むしろそれがいい刺激になると思っています。しかし、自分の選んだ道、そして自分は全くエリートではないことを認識している以上、勇気を もって今の等身大の自分を見つめ、驕らず、卑屈にならず、焦らず、一歩ずつ地道に、謙虚に音楽に指揮に取り組んでいきたいと思います。

これは、宣言ではなく、正直、自分に言い聞かせていることです。10代の頃、私は自分の身体を思ったとき、自分はそんなに長生きできると考えていませんでし た。人は誰しも人生は一度きりしかない、そしていつ死ぬか分からない、そう思って、「やりたいことはやる」という思想を持つに至りました。この考えは前向 きな意味において間違いだとは思いません。周囲の温かい支援やお心があって、指揮や海外生活などいろいろなことに挑戦してこれたことは、本当にありがた く、幸せなことだと思っています。

しかしその気持ちだけでは本当の意味において「やりたい」ことは出来ないことは明らかです。地道な努力や 長期的な展望も「やりたいことをやる」には必要です。指揮、音楽表現という奥の深いことに携わる以上、焦らず一歩ずつ、決してあきらめず、勇気を持って貪 欲に挑戦し続けようと思います。

今年もどうぞ、宜しくお願いいたします。