2018年1月のご挨拶

大変、遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。皆様いかがお過ごしでしょうか?年始早々、心機一転散髪に行ってまいりましたが、かなり大胆にばっさりいってかなりスッキリした(少々寂しい)感じになっております。

2013年7月にお蔭様で関西に引っ越して今年で5回目の お正月を迎えました。ほぼ毎週、平日は関西、土日は関東、週に2泊は夜行バスの生活も5年目に突入しました。最初は相当しんどいのではないかと不安だった時期もありましたが、それぞれの風土や歴史、自然、食べ物、そして多くの人との出会いと音楽作りを楽しんでおります。近年は月1回愛知県に伺う機会も得て、充実した日々を過ごしています。本当に恵まれた贅沢な人生だと思います。思えば、高速バス、新幹線、レールや高速道路の整備などいつでも安全第一で最善を尽くして頑張って下さる多くの方がいらっしゃるからこその生活、感謝の気持ちを忘れずにいたいと思います。

振り返ってみて2017年は、自分にとって怒涛の一年でした。
1月8日(日)の高津市民オーケストラの皆さんとのニューイヤーコンサート。舞台の上までお客様にお座り頂くほど多くの方がご来場下さり、シューマンの交響曲第1番とシュトラウスのワルツやポルカを楽しみました。シュトラウスファミリーの音楽は軽やかで華やかで演奏する人の心も聞く人の心も一瞬で虜にする力があると思います。留学中にウィーンフィルのニューイヤーコンサートのリハーサルを見学して憧れをていたニューイヤーコンサート!高津市民オーケストラの皆さんと迎えられてとても幸せでした。演奏会後のオケのメンバーやお客様の笑顔がとても印象的で、音楽は人を幸せにできると強く実感いたしました。

3月18日(土)は慶応大学日吉キャンパスで行われた日本化学会の学会の会場で化学オーケストラのコンサートがありました。モーツァルトの魔笛、ベートーヴェンのコリオラン序曲、シューベルトのロザムンデ序曲、そしてJ.シュトラウスⅡの喜歌劇「こうもり」序曲という実にもりだくさんのプログラム!短い曲も一つ一つ起承転結、こめられたドラマがあり、作曲家ごとの語法やふさわしい響きがあり、難しいながらもとてもやりがいのある充実したコンサートでした。それぞれの作曲家の素晴らしさを再認識できたコンサートでした。

9月はコンサートの本番目白押しでした。
3日(日)大阪市民管弦楽団の皆さんとザ・シンフォニーホールという夢の舞台で、ウェーバーのオイリアンテ序曲、ベートーヴェンの交響曲第5番「運命」、そしてチャイコフスキーの交響曲第4番という燃え上がる炎のように熱いプログラムに挑みました。大阪市民管の皆さんとの始めての本番、しかも難曲のチャイ4!2週間前くらいから今まで経験した事がないくらい緊張を感じておりました。しかし、当日リハーサルの時、オイリアンテの最初のTuttiがホールに響いた途端、これまた経験した事ないくらいの幸福感に包まれました。本番もオーケストラの素晴らしい集中力と熱意、そして多数ご来場してくださったお客様の集中力は作り出す静寂の緊張感、すべてが一つになって作り上げた「苦難を乗り越えて歓喜へ」至る音楽を作り上げられたことは、私の音楽人生において忘れえぬ経験になりました。

16日(日)には私が創立から深く関わっているホームグラウンドともいうべきMFL管弦楽団の皆さんとのコンサートが小金井の宮路楽器ホールで行われました。
ブラームスのヴァイオリン協奏曲とドヴォルザークの交響曲第8番という哀愁漂う名曲プログラムでした。ヴァイオリンソロの佐々木綾さんの生き生きとしたソロがオケ全体に活力を与えてくれていたように思います。多くのエキストラの方々にもご協力いただき、歌に溢れたドヴォルザークができたように思います。メンバー個々の頑張りや進歩は目を見張るものがあります。さらにオーケストラ全体を盛り上げていきたいと思っています。

翌17日は愛知県一宮市で、響愛学園と桜花学園、一宮太鼓のみなさんとの笑顔とエネルギー溢れるコンサートでした。和太鼓と篠笛とオーケストラの共演というのはオケにとっても、太鼓の皆さんにとっても、そして私にとっても初めてで、想定もしないような様々な挑戦がありました。ですが「本番に向けてよい音楽をしたい、楽しみたい!」というひとりひとりの気持ちが、練習を通して一丸となって、本番はとても良い音楽になったと思っています。船本孝宏、池本詩織両氏に編曲頂いた音楽も素晴らしくコンサートは大変盛り上がりました。

10月21日には日経ホールで行われた千代田区オーケストラフェスティバルで化学オーケストラの皆さんとの「魔弾の射手」序曲とブラームス交響曲第2番を演奏しました。化学オーケストラの皆さんとは初めてお会いして5年ほど経ちました。
化学オーケストラの皆さんの熱意は素晴らしく、コンサートを重ねるたびに、オーケストラの音色の幅やアンサンブル力がめきめきと上がってきました。一昨年のチャイ5に続いて去年のブラ2も音楽の喜びを表現できる素晴らしいコンサートになりました。

去年の締めくくりは、11月26日には羽村フィルの皆さんとのファミリーコンサートでした。羽村フィルの皆さんとは2010年から下振りとしてお世話になったオーケストラで、今回初めて本番の指揮を任せていただき大変感慨深いものでした。前半はオーケストラの楽器紹介やアンサンブルの魅力について紹介する企画、後半はベートーヴェンの交響曲第6番「田園」でした。私個人としては、田園はベートーヴェン9曲の交響曲の中で最も繊細で、テンポ感やリズム、音色、どれをとっても音楽にするのが一番難しい曲だと思っています。リハーサルの中で統一したイメージを持つまでに様々な困難にぶつかりましたが、皆さんの熱意と努力で乗り切って一丸となった演奏をすることができました。

去年一度も更新できなかったので2017年の振り返りをさせていただきました。さらに千里フィルハーモニア・大阪、くにたち市民オーケストラ、METT管弦楽団、TBSKオーケストラ、福祉の管弦楽団まごころの皆さんとのリハーサルもさせていただきました。大変多くの方と音楽を共有させていただけたことに心から感謝をしたいと思います。ありがとうございます。

今年はどんな出会いが待っているか、どんな音楽作りができるか、楽しみです。去年からコリオラン、運命、田園とベートーヴェンを演奏する機会が多かったのですが、今年も化学オーケストラの皆さんとベートーヴェンの交響曲を取り組むことになっています。ベートーヴェンの音楽は、小中学生のとき何度も精神的な危機から救ってくれた音楽であり、高校時代に深い感動をもたらして指揮者を目指すきっかけにもなった、私のレパートリーの中でも中核となる大切な存在です。
改めて真正面から取り組んで常に新しい発見をしていけたらと思っています。

新たな事にもチャレンジしていきたいと思っています。40歳を過ぎ、人生も半ばを過ぎました。今までは教えていただくばっかりでしたが、これまで培ってきた指揮のテクニックやコツを必要としている方々にお伝えしていきたいと思っています。指揮をする事の難しさ、そして面白さ、ありがたさをお伝えする事ができればと思っています。無論、自分がまだまだ未熟者であることも忘れず、今後も勉強を重ねていきたいと思います。
詳細はスタジオレニーのページをご覧ください。

今年はもう一つ目標があります。40歳を超えて目に見えて体力の衰えを感じてきています。精神力はまだまだ20代に負けないと自負しておりますが、やはり体力が基礎になるものです。お蔭様で昨年は忙しい中でも特に風邪を引くでもなく、体調的に安定した一年でした。今年はさらに体力、気力ともに充実して音楽的にもより大きなエネルギーを表現できるよう、体を鍛えたいと思っております。文化系だから・・などとサボっていた享楽的な自分を見直し、残りの人生、最後の瞬間まで多くの方と音楽の喜びを共有できるように心も体も鍛えていきたいと思います。

音楽を演奏者の皆さんと共有するためなら日本全国、どこへでも参ります。頂いた機会を1回1回大切にして、今年も全力で駆け抜けたいと思います。
本年もどうぞ宜しくお願い致します。