2004年2月のご挨拶

寒い季節、インフルエンザも猛威を振るっているようですが、みなさんお元気ですか?私はお蔭さまで 体調を崩さず、先月末の2つのコンサートを無事やり遂げることができました。ご来場下さった皆様、本当にありがとうございました。そしてコンサートを支え てくださった皆様、心より感謝申し上げます。

ひとつのコンサートを開くためには、大変なエネルギーが必要です。それでも、苦労をはるかに上 回る「音楽を通して自分を表現する喜び」、「皆さんに共感していただく喜び」のために音楽活動を続けています。ですが、他にも喜びはあります。それは「人 とのふれあい」です。今回2回のコンサートを通じて強くその喜びとありがたさを感じることができました。

一つのコンサートを通して、多くの 方との出会いがあります。一つのものを作りあげていく過程で心の交流があります。演奏者の方、企画の方、裏方で支えてくださる方。作り上げる熱意、支えて くださる温かい気持ち。一つ一つの出会いがとても嬉しいものです。そして聴きに来てくださる方々。私は何度か入院経験があるのですが、普段会えない友人に お見舞いに来てもらうことがとても嬉しかったのを覚えています。音楽をし、コンサートを開くようになって、いらしてくださるの方々のご好意によって、懐か しい友人、恩師にご挨拶できる幸せを心から感じました。

「指揮」という作業は、つまるところ「コミュニケーション」だと私は思っています。 いかに深く、そして余裕を持って演奏者の方とコミュニケーションをとることができるか、きわめることが指揮の道なのだと思います。心を開いて演奏されてい る方とは、言葉を交わさなくとも目が合うだけで、舞台上でも多くのコミュニケーションをとることができます。また表情や演奏する姿勢が無意識のうちに私に メッセージを下さっている方々もいらっしゃいます。逆に私に対して、音楽に対して心を閉ざして演奏なさっている方も一部いらっしゃいます。そういう方に は、どうしたら心を開いていただけるか、文字通り微力ではありますが、精一杯試行錯誤をしています。こうした心のやり取りこそが指揮の本質なんだろうと、 なまいきながら思っています。

これからも奥の深い指揮を探求していきたいと思います。

MFL管弦楽団 第3回定期演奏会

日時2004年1月31日(土)
場所三鷹市芸術文化センター 風のホール
演奏MFL管弦楽団
ピアノソロ土居 里江
指揮宮野谷 義傑
演奏曲
  1. チャイコフスキー 交響曲第5番
  2. ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
  3. グリンカ ルスランとリュドミラ序曲

もともとクラシック音楽の中心ではないロシアが近世になってどうして多くの作曲家を生み出すようになったか、私自身の解説を交えながら進めたコンサートでし たが、今回もおおむね好評でした。ラフマニノフのソリストの土居さんも「ずっと弾きたかった曲」とおっしゃっていた通り、ほんとうに心のこもった演奏で、 心に響く名演だったように思います。オーケストラもそれぞれの楽器がよく鳴って、スケールの大きいロシア音楽の魅力を十分伝える演奏会になったと思いま す。今後は細部の神経の細やかさまで表現できるよう練習を重ねていきたいと思います。

モーツァルト・モデルン演奏会

日時2004年1月29日(木)
場所こまばエミナース(東京都目黒区)
朗読藤岡 弘、(俳優)
演奏曲
  1. モーツァルト ディベルティメント KV 136
  2. モーツァルト アダージョとフーガ KV 546
  3. ベートーヴェン ~ロマン・ロランの言葉による付随音楽~
  4. 弦楽四重奏曲第11番 Op. 95 (arr. Gustav MAHLER) / (弦楽合奏版)
  5. 大フーガ Op. 133 (弦楽合奏版)

「新 しいクラシック音楽の提供の場をつくる"挑戦"」をテーマに、今回、モーツァルトモデルンが企画されたコンサートに、今回縁あってご協力させていただくこ とになりました。ロマン・ロラン「ベートーヴェンの生涯」を藤岡弘、さんに朗読していただきながら、合間にベートーヴェンの音楽を挿入する。ベートヴェン の人間的側面に光を当てようとしたこの企画は、その趣旨を全うすることが出来たと思います。と藤岡さんの「魂」のこもった朗読に引き込まれるように音楽も 深い表現力をもつようになる。そんな相乗効果が舞台上に生まれていました。
また、藤岡さん自身の人間味もこの舞台にはなくてはならないものでした。もっと多くの人に聴いていただきたいコンサートでした。この企画、継続されるとのことですので、微力ながら精一杯お力になりたいと思います。

2004年1月のご挨拶

2004年年賀状画像
明けましておめでとうございます。本年もどうぞ、宜しくお願い致します。

昨年は世界では紛争、そしてイランでの大地震など痛ましい事 件や災害もありましたが、日本国内は大きな災害もなく、比較的平穏な一年だったと思います。しかし、我々の感覚の中では平穏であった実感や安心感はあまり なく、誰もが多かれ少なかれ、それぞれの環境の中で孤独感や無力感、虚無感などの不安と向き合い、闘っている日々を送っているように思います。情報が溢 れ、価値観が多様化して自分の居場所や役割を誰もが探し求めている、自分も含めて、そう感じています。

今年は申年ではありますが、あえて 「見ざる、聞かざる、言わざる」ではなく、どんな厳しいことでも、また一見自分に関係のないことや遠くの国の出来事であったとしても、「よく見て、よく聞 いて、そしてはっきり自分の意見を言う」ように努めて参りたいとおもっています。これはオーケストラの音楽作りでも、全く同じことが言えます。周りの奏者 がどう感じて吹いているのか、指揮者を見るだけでなく、周りの人を目でよく見ることは大切です。自分の音だけでなく、ほかの人の音をよく聴きながら演奏す ることは当然重要です。そして、何より自分はどう感じているのか主張して演奏することも、アンサンブルにはとても重要なことです。

音楽作りにも、自分の現実にも、そして自分の周囲の出来事にも自分の感覚を信じ、勇気を持って積極的に取り組んでいきたいと思います。