2025年3月のご挨拶

 今年3月、ついに50歳を迎えました。2歳で交通事故に遭い、子ども時代から何度も手術を繰り返し、全身メスをいれている私が、人生五十年というひとつの節目を迎えられたことは、ひとえに両親をはじめ、私の周囲の人の温かな支えのおかげに他なりません。改めてこの場を借りて心より御礼申し上げます。

 その一方で、悔しいことに、情けないことに、とてもじゃないけれど、自分が年相応だとは思えないのです。子どもの頃の両親、先生方、見守ってくださった諸先輩方のその頃の年齢を超えたとは夢にも思えないのです。まだまだ修行や経験、見識が足らない自分を認め、こうなったら、年相応なんていわず若いつもりで、この先の人生駆け抜けてやろうと思う次第です。

 実に幸せなことに、両親はともに健在で、ありがたく思っております。ですが、自分にとって大きな影響を与えてくれた人生の先輩方との別れがだんだんと増えてまいりました。悲しく淋しい気持ちでいっぱいになります。

 自分は子どもはいません。先祖代々受け継いできた命を引き継ぐことはできません。ですが、多くの温かい人々から支えられ、生かされてきたからこそ感じる命の尊さ、そして音楽の豊かさ、ありがたさを、微力ではありますが、精一杯、より多くの方と、特に次世代を担う若い世代の方たちと分かち合っていきたいと思っております。

 今後ともどうぞ宜しくお願い致します。