2015年3月のご挨拶

こんにちは。お蔭様で、私は今月11日に40歳を迎えました。お祝いメッセージを下さった皆様、ありがとうございます。



 この1年というもの、こんな自分が本当に40代を迎えて良いものか、自分の親や恩師、友人を思うと滑稽にすら思えてしまう我が身に、正直悶々としておりました。ですが、良いも悪いも、時間は当然淡々と過ぎていくもので、ついにこの日を迎えてしまいました。思えば、私は子供の頃、病気や手術等もあって「15歳天命説」を勝手に信じていた身でした。それがあっけなく15歳を超え、30も超え、今や40代に突入しました。本当に両親や相方、そして周囲の人々の支えがあったからこその40年であったと思います。しかも、幼い頃から精神的危機を救ってくれた愛する音楽を職業として活動することができている。3月11日という日は、あの日から、自分が命あること、健康であること、人間らしい生活をできていること全てが決して当たり前ではないことを思い出させてもらえる一日になりました。

  「果報者」ということばがあります。幸せ者という意味ですが、本来「果報」とは努力などの成「果」と、不摂生などの「報」いを合わせた言葉で、日頃の行いが大切だという戒めでもあります。(ここで宗教や前世に言及するつもりは全くありません)しかし、そういった言葉では片付けることのできない運命を背負った人を私たちはたくさん知っています。災害、事故、病気、悪意や狂気。ごく身近に理不尽が溢れていることを忘れてはならないと思うのです。その中で様々な悩みはあるにしても、今、こうして自分があることは、間違いなく幸せだと言えます。「不惑」という境地には程遠い未熟ものですが、幸福への感謝を忘れず、音楽や自分の活動を通して、自分の信じる使命をひとつひとつ、しっかり果たしていきたいと思います。

 堅い話になってしまったので、趣味の話をひとつ。昨年秋から愛鳥熱が俄かに再燃して、年明けからバードウォッチングにすっかりはまっています。早朝のすがすがしい空気、緑の中や川べりをゆっくり味わう時間はなんとも贅沢なものだと感じるようになりました。(正直、早起きは苦手で辛いんですが・・)この年になって、中学生時代、鳥の図鑑を見ては憧れていた鳥に出会う喜びは言葉では言い尽くせないものがあります。今日18日、大阪城公園でヒレンジャクにやっと出会えました!
なんという見事な冠羽!イカしてますよね!


 大阪に引っ越してくるまで、こんなに身近に憧れの鳥がいるなんて知りませんでした。野鳥観察は山奥や草原といった人里離れたところに行かなければできないものと勝手に思い込んでいました。家族旅行で郊外へ行った時に鳥を探しても空振りばかり。野鳥公園に行っても珍しい鳥には出会えずじまい。よっぽど難しいのだと思い込んでいました。もちろん、山奥のような場所にしかいない鳥もいます。しかし、ほとんどの場合、あまり山奥に行くと、逆に緑が深くて観察しづらい。渡 りの季節など鳥の行動ををきちんと知れば都市公園のほうがずっと容易に観察できるのだと教えてもらいました。(大阪城公園はさらに特別だとは思いますが) なんともったいない思い込みをしていたのだろうと今になって思います「身近にいる鳥なんて、スズメかハトかカラスくらいじゃないの?」という言葉を良く聞 きますが、ちょっと注意や興味を持って見ると、ヒヨドリにシジュウカラやメジロ、たくさんの表情豊かな鳥がいます。さらに興味を持てば持つほど、そこに無限の変化や楽しみが広がっている。バードウォッチングに行くと強く思うのです。興味を持つか持たないか。注意して見るか漫然と見るか。それだけのことで見える世界がまったく違って見えると。これは音楽にも、そして生活や学問のどんな分野にも言えることなんだろうと思います。ひとつひとつのフレーズをちゃん と歌っているか、一瞬一瞬の響きにきちんと耳を傾けているか。そこに新しい発見が無限にあるはずだと思います。より積極的に、より貪欲に、40歳からの人生を楽しんで生きたいと思っています。

 最後にコンサートのご案内です。3月28日(土)16時より、日本大学理工学部船橋キャンパスにて 「化学オーケストラ・スプリングコンサート」を指揮いたします。化学の業界で活躍される方々の集まったオーケストラで、日本化学会の主催する学会で演奏会を行います。学会に参加されている皆様、もしくはお近くの方、お時間のある方、入場無料ですので、ぜひ聞きにいらして下さい。

http://www.miyanoya.com/2015/03/20150328.html