2015年1月のご挨拶

 かなり遅くなってしまいましたが、改めて、皆様、明けましておめでとうございます。年末は、東京、大阪でのクリスマスコンサート、昨年2度目の引っ越し(!?)などがあり、年明け早々1日起きた途端39度の熱を出す、どたばたの年末年始でした。12月、更新できなかったので、まずは去年を振り返りたいと思います。

 2014年を振り返って、まずは著名な指揮者がお亡くなりになった年でした。


アバドさん、マゼールさん、そして敬愛していたブリュッヘンさん。音楽や指揮の勉強を始めた頃、最も活躍していた方々で、たくさんの感動やインスピレーションを頂きました。どこかいつまでもその生き生きとした指揮姿をいつまでも見られるような錯覚をしてしまうのですが、もう二度と生で聴けないかと思うと残念でなりません。クラシック音楽界の方ではありませんが、やしきたかじんさんの死は、大阪の街に大きなショックであったことをまざまざと感じました。

 一方、昨年も多くの出会いに恵まれた一年でした。お世話になっているオケの方、手話や福祉関係の方々。数々のご支援やフォロー、励ましをいただいてなんとか2015年を迎えられたのだと実感しております。昨年2月15日の大雪の日の本番。助けてくださった方々の優しさが身に染みました。また昨年はなかなか演奏されない曲との出会いが多い年でした。メンデルスゾーンの交響曲第1番、サン=サーンスの2番、チャイコフスキーの2番、シューベルトの3番。初期の作品でもそのひと「らしさ」が満載です。想像をはるかに超える魅力に溢れた音楽ばかり。人も音楽も出会いは本当にありがたいものです。

 個人的にはお蔭さまで昨年、大阪生活2年目を迎えました。ようやく腰をすえて本格的に関西での生活を楽しむことが出来ました。まずは街歩き。大阪市内だけでなく、京都や奈良までも電車で1時間弱。飛鳥、平安、戦国、幕末、そして大正、昭和。教科書で覚えた歴史が壮大なスケールで現地で味わえるのは実に贅沢です。歴史上の出来事は決して偶然ではなく、地形や風土が大きく影響している事を知ることが出来ます。住宅街の何気ないお寺で、思いがけない歴史上の人物のお墓があったりします。実に奥が深いです。

 文楽、NGKや上方講談など、上方芸能と出会いも印象的でした。特に文楽は、浄瑠璃の口跡の良さ、メリハリや自在なテンポ感、人形の僅かな動きで表情が表現されるなど、研ぎ澄まされた芸術の凄みを感じる事ができました。小さい動きで多くを表現しなければならない指揮や、僅かなデュナーミクやアゴーギクが音楽に命を吹き込むこと通じるなど、多くのヒントを得ることが出来ました。竹本住太夫さんの引退公演は、朴訥としたなかに、深い情を感じさせる語りがとても印象的でした。

 関西の自然にも親しむことが出来た一年でした。大阪城に珍しい鳥が数々来る事を知り、いろいろな探鳥会に参加するようになりました。小学生の頃から野鳥が好きで、趣味「バードウォッチング」と履歴書に書いていたのですが、本格的に探鳥会に参加してからは楽しさ倍増!ついに日本「野鳥の会」のムクドリ会員になりました!オオルリ、ルリビタキ、サンコウチョウ!見たい鳥はまだまだたくさんいます!2015年、どんな鳥に出会えるか楽しみです。


   2015年、年賀状にも書きましたが、いよいよ3月で40歳を迎えます。親が40歳の頃、恩師が40歳の頃に比べて、なんと自分はまだまだ未熟だろうとつくづく感じます。(でも「何歳に見えます?」と質問して「30歳くらい?」と返ってくると喜ぶ自分もいます・・・)40歳を迎えられるのは偏に皆様のご支援、そしてご指導ご鞭撻のお蔭です。感謝の気持ちを忘れず、今年一年過ごそうと思います。そして、自分が指揮者として、一人の大人として、使命をしっかり果たせるよう、等身大の自分から目を背けず、なおかつチャレンジと自己改革の精神で、これまでより大胆に一歩一歩進んでまいりたいと思います。

 今年もどうぞ宜しくお願い致します。