2007年12月のご挨拶

帰国の飛行機内の写真
こんにちは。随分更新が滞ってしまい、皆さんにご心配をおかけして申し訳ありません。この度、無事にウィーン留学から帰国いたしました。これからまた、日本で心機一転、再出発する気持ちで頑張ってまいる所存です。どうぞ今後とも宜しくお願いいたします。

先日、ウィーンで大変お世話になったウィーンフィルチェロ奏者のヨルゲン・フォクさんと奥様の陽子さんが中心として世界で活動されているウィーン五重奏団の コンサートを聴きに行ってまいりました。まだヨーロッパから帰国して3ヶ月しか経っていないのですが、ウィーンの音を聴き、そしてお世話になったウィーン フィルの方々に久しぶりに会って、ウィーンフィルのコンサート・リハーサル・オペラ三昧という夢のような日々を思い出し、改めて素晴らしい体験をしたと実 感しました。

去年の10月から一年次間、ウィーン国立音大助教授のピロンコフ先生の特別のご推薦を頂き、指揮実技の授業を聴講しました。世 界中から集まった指揮者志望の学生のレッスンは大変面白いものでした。当初はドイツ語があまり分からず、曲分析の授業は正にチンプンカンプンでしたが、毎 日語学学校に通ったお蔭で少しずつ吸収できるようになりました。時には、ヤンソンス氏やブーレーズ氏が指揮レッスンやリハーサルをするなど、とても刺激的 な環境でした。

憧れの偉大な作曲家たちのゆかりの地を訪れることも貴重な体験となりました。ベートーヴェンやモーツァルトが過ごした空間や 景色を時代を超えて共有することは、その場所でないと出来ない体験です。演奏は時間を越えた作曲家とのコミュニケーションだと私は思っているので、音楽に 取り組む時は、作曲家の心情や環境にも注目するべきと考えています。同じ喜怒哀楽を持った人間として身近に感じると同時に、それぞれの人生を必死に生き抜 き音楽に打ち込んでいた姿に、これからも真摯に音楽に取り組む決意を新たにしました。
音楽の都、厳しい一面も多くありました。挫折や自信喪 失も経験しました。習慣や文化、言語の違いからアクシデントも多くありました。正直、車椅子であること、日本人であることによる差別も経験しました。 ウィーン以外、ローマやパリ等の街ではバリアフリーが行き届いていない現状に立ち往生することも多くありました。でもその中で音楽を聴き、音楽に取り組む ことが出来ることの幸せを身に沁みて感じることができました。

2008年はさらに感性、知識を磨くと同時に、経験してきたことや音楽の魅力 を、より多くの方と分かち合っていけるような活動をさらに進めていきたいと思っています。今月13日よりインターネットラジオで番組を担当させていただけ ることになりました。いろいろな挑戦をしていきたいと思います。今後とも応援宜しくお願いいたします。