2003年12月のご挨拶

早いもので2003年も大詰めを迎えました。毎月更新を待ってくださっている方、今年最後にもかか わらず大変遅くなり申し訳ございません。風邪もひかずに元気にしております。最近めっきり寒くなってきました。8月には「夏は苦手」という文章を挨拶で載 せましたが、冬も苦手です。雪が降ると、車椅子で出歩くことができなくなるのでどうにもならないのですが、そうでなくとも寒くなると足が痛むので困りま す。今年は足湯に期待してみようかと思っています。

ハワイに行ったときは「常夏はいいなぁ」と本気で思ったりもしたのですが、やはり日本に は四季があってよかったと私は思っています。季節がうつろい。巡ってくることで、時が流れていくことを実感できます。花の季節、太陽の季節、落ち葉の季 節、雪の季節、景色が変わることで、人の気持ちや感情も繊細にうつろい、詩が生まれます。暖かい国の人の気持ちも、寒い国の人の気持ちも、少しだけですが 共感することもできます。寒い冬のあとには必ず春が来ると知っている私たちは、つらい日々必ずも突き抜けることができると信じて頑張ることができます。

今 年一年、いろいろなことがありました。未年として穏やかな一年を望んで迎えた一年でしたが、社会的にも、個人的にも、そして周囲の人たちにも、悲しいこと や、辛いことがたくさんありました。でも、どんな長い冬にも雪解けの季節はくるものです。北国の春は短いからこそ喜びもひとしおです。音楽でも同じことが 言えます。短調があるからこそ、長調の喜びが生きてくるものです。そしてベートーヴェンの運命の第4楽章のように、諦めなければ、いつしか長い苦しみ、悲 しみに打ち勝てるときが必ず来ると、私は信じています。そして私は、人それぞれの人が持つ悲しい心に、安らぎや希望をもたらすことができるような音楽作り ができる指揮者を目指して、自分の未来を信じていきたいと思います。