2014年 新年のご挨拶

皆様、明けましておめでとうございます。お正月はいかがお過ごしでしょうか?私は初めて、大阪で新年を迎えることになりました。幼稚園にあがる前から東京育ち。去年の今頃は東京都日野市におり、まさか関西で次の年越しを迎えるとは夢にも思いませんでした。ですが、新天地での新年は、自分の知らなかった新鮮な世界が開かれるようで、2014年の自分にわくわくした気持ちでおります。
除夜の鐘を齢延寺の鐘桜門で撞いて、新年のお屠蘇を聖徳太子さんのお寺、四天王寺でいただいてまいりました。関西ならではの歴史の深さ、風情を味わうことができました。

 2013年の年末には、念願だった出雲大社に行ってまいりました。東京からだとかなり遠いイメージでしたが、大阪からならそんなに遠くないかも!?ということで例の如く、JRの深夜バスで向かいました。
早朝に出雲大社に到着し、まだ参拝の方がほとんどいない静寂の中、神聖な気持ちでおまいりすることが出来ました。次の日から雨や雹、大雪に見舞われ大変でしたが、出雲大社にいる間は不思議と静かな天候で助かりました。 出雲大社は「縁結び」で有名ですが、自分はこの「縁」にとても恵まれた人生を送っていると常々感じているので、まずは感謝の気持ちをこめてお参りしてきました。

  自分の「今」は、本当に多くの方との出会いとご好意によって支えられてこそ、迎えられた瞬間だとことあるごとに実感しています。両親が出会い、自分が誕生したこと、交通事故にあって生き延びたこと、音楽に出会い、指揮を志したこと。そして大切な人との出会い。ひとつひとつが今の人生に欠かせない奇跡の「縁」のつながりのように思います。そして、昨年は、たくさんの新しい音楽、新しいオーケストラの皆様との出会いがありました。ゆっくりと、でも、加速度的に、自分の世界がまた一つ広がったようなそんな一年だったと思います。

ひとつひとつのご縁に感謝を忘れず、人の「心」を大切にしながら、2014年も一歩ずつ精進してまいりたいと思います。

本年もどうぞ宜しくお願い致します。

2013年12月のご挨拶

2013年もあっという間に歳の瀬が迫って参りました。皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

師走の忙しさというのは20代の頃まであまり実感がなかったのですが(会社勤めしてる時期さえ・・)、このところ、歳を重ねるにつれ感じるようになってきました。日本人指揮者にとって12月の忙しさといえば「第九」ですが、まだまだ駆け出しの自分は第九ではなく、例年クリスマスコンサートを多くの方や団体のボランティアでのご協力を得て、障害者・障害児の施設等でさせて頂いています。

私は常々、「音楽」はもっと、必要としている人に届きやすくてもいいのではないかと思っています。音楽は、ストレスに疲れた心を癒し、人を笑顔にし、身体をも元気にしうるものだと思っています。誰もがストレスを抱えてるには違いないのですが、身体や心に障害を負って自由を奪われ、他に発散する手段のない方々にこそ、「音楽」は必要であると思います。

一方で、クラシック音楽は、「静かに聴く音楽」であるゆえに、障害が重く、どうしても声や音を発してしまう障害の方にとっては、生演奏は遠い存在になりがちです。最近、12月9日(障害者の日)など、どんな障害の方でも聴いて頂けるような素晴らしいコンサートが企画されるようになってきました。それでも、生演奏に触れる機会は健常者とは比べようもありません。

12月8日に多摩障害者スポーツセンターで20分強というごくわずかの時間でありましたが、利用者の皆さんと音楽を楽しむことの出来る時間をいただきました。弦楽の調べと一緒にクリスマスソングを歌う、リズムに合わせて鈴を鳴らす、身体を思いっきり動かす・・。終演後に多くの方から、いろんな世代の方から楽しかった、気持ちよかったと反響をいただきました。

今月はもう一回、クリスマスコンサートの機会をいただいています。精一杯頑張ろうと思います。

12月はもう一つ、オーケストラトウキョウとベートーヴェンの交響曲第2番とホルストのセントポール組曲の録音がありました。特に交響曲第2番はベートーヴェンが耳の疾患にけっして屈しないという決意の漲った素晴らしい音楽で、自分にとって「運命」と同じくらい大切な音楽です。


 今回も、オケの皆さんが、大変素晴らしい技術と集中力で支えてくださりました。仕上がりが楽しみです。

2013年、大阪への引越など、個人的には波乱万丈の一年でありました。と同時に、ベートーヴェンの交響曲の録音、そして多くのオーケストラの方々との出会いがあり、刺激と充実感のある一年にもなりました。偏に、支えてくださる皆様のお陰です。心より感謝を申し上げます。

新年を大阪で迎えるのは初めての経験です。2014年が、自分にとっても、そしてこれを読んでくださった皆様にとっても素晴らしい一年になりますように!

2013年11月のご挨拶

こんにちは、宮野谷です。11月を迎えて急に寒くなって冬の足音が聞こえてまいりました。皆様いかがお過ごしですか?

年末といえばクラシックの世界では「第9」です。指揮をしていると、年末に第九の仕事がないとどうも孤立感を禁じえないのですが、今年は11年以来2度目のかわさき市民第九コンサートにオケの下振りで関わらせて頂き、第九の音楽の難しさ(苦しさ!?)と喜びをオケの皆さんと共に味わうことが出来ています。

年末に第九のコンサートが目白押しになるのは日本だけですが、私は「苦悩を突き抜け歓喜に至れ!」という精神を年末に味わいたくなる日本人の魂に大いに共感を覚えます。皆さんの思いが結集して、素晴らしいコンサートになることを祈っております。(もちろん、第九に限らず、関わらせて頂いた全てのオケの本番の成功をいつも祈ってますよ!)

思えば、2013年はオーケストラトウキョウの皆さんとベートーヴェンの交響曲全曲録音に挑戦し、既に1番、4番、5番を録音しました。来月は2番を録音する予定です。ベートーヴェンの交響曲は自分にとって不思議なほど、どの曲も取り組むたびに新鮮な感動と、エネルギーを与えてくれます。小学校の頃、毎日のようにレコードで「運命」を聴いて勇気をもらい、巨匠バーンスタインの振った第九に雷に打たれて、指揮者を志した自分にとって、やはりベートーヴェンは永遠の憧れのような存在です。録音というのは実にシビアで反省点も多いのですが、それでも最善を尽くした結果ですので、出来上がった際には、ぜひお聴きいただければ幸いです。

最後に今月の写真ですが、第九の初演(1824年)から約10年後(1835年/天保5年)に生まれた福沢諭吉の生誕の地での一枚です。大阪の中ノ島にあります。諭吉さんは1万円紙幣でお見かけするので身近で実にありがたい存在でありながら、慶応義塾の創始者で文明開化に大きな影響を与えた思想家という程度にしか、彼の人生を知りませんでした。大阪に来て、縁あって福沢諭吉の生誕の地を訪れて、少し興味を持ち、彼の功績に賛否があるにせよ、クラシック音楽に携わる日本人として、忘れてはならない存在であることを改めて認識しました。「今」という時間は、気が遠くなるほどの多くの「過去」の人の思いが積み重なって支えられている、このことへの感謝を忘れてはならないと思います。それはひとりの人間の人生もそうですし、第九のような巨大な音楽のコンサートに似ているような気がします。





2013年10月のご挨拶


 こんにちは。10月も早半ばを過ぎての更新になってしまいました。先日、東京日野市の東光寺小学校で車椅子体験教室のお手伝いにうかがった際、去年植樹したクヌギの木を見に行って来ました。私の年賀状を受け取ってくださった方はご存知かと思いますが、植えたときは本当に枯れ枝のようにしか見えなかった小さなクヌギの木に、立派に!青い葉がついていました。陽の光をたっぷり浴びながら伸びやかに生きている小さなクヌギの木。生命力のたくましさを実感しました。

 先月は、自分にとってとても思い入れのあるベートーヴェンの交響曲第5番「運命」の レコーディングがありました。リハーサルが前2日の数時間のみという厳しい制限下ではありましたが、オーケストラトウキョウの皆さんの素晴らしい技術と集中力が結集して、自分にとって記念碑ともいえる録音になりました。まだまだ、人生も指揮者としても道半ばではありますが、それでも「今」を凝縮したような演奏になったかと思います。今まで事あるごとに、自分を鼓舞し続けてくれたベートーヴェンの音楽。彼がいかに精神を研ぎ澄まして、考えに考え抜いて作曲したか改めて悠久の時を超えて感じることが出来ました。録音が最終的に仕上がったら、皆様ぜひお聴きください。
http://mozartmodern.wix.com/orchestra-tokyo

  悠久の時を越えるべく、最後に写真をもう一枚。

 住んでいる大阪市都島区の住宅街のど真ん中に立つ信じ難いような巨木。大阪のガイドブックにもほとんど載ってませんが、渡辺綱の「駒繋ぎの樟」という史跡の木です。長徳年間(995~998)大江山の鬼退治で有名な源頼光が、この樟を植えたといわれています。何も知らずにこの道に差し掛かったときのこの樹のなんというオーラ、存在感!!(写真では伝わりにくいかなぁ・・)昭和の初め、大阪府の天然記念物の第一号に指定されていて、幹回り13m、高さ20mの大木であったそうです。残念ながら大阪大空襲で焼かれ今は立ち枯れになっているのですが、死んでいても弁慶の立ち往生のような威厳、風格。散歩で偶然発見し、圧倒されてしまいました。悠久の歴史を見守ってきた風格溢れる大木も本をただせば、私が植えたような小さな苗木だったかもしれません。焦らず、じっくりと、穏やかに、そして力強く、生きていきたいものです。