2005年10月のご挨拶

こんにちは。更新が遅くなってしまって申し訳ございません。一ヶ月遅れの更新をしばらく続けてまい りましたが、今回それも間に合わなくなってしまったので、今回10月のご挨拶は、日の目を見ることなく、コラムにお蔵入りとさせていただきます。別に大き く体調を崩しているというわけではございませんので、ご安心ください。

先日、ロッテがついに31年ぶりに優勝しました。ロッテファンの方、 おめでとうございます。私はヤクルトファンですが、ヤクルトも長い低迷期があり、久しぶりに日本一で優勝したときはとても嬉しかったものです。お祝い申し 上げます。万年Bクラスだった球団を就任二年目で優勝させてしまうバレンタイン監督の手腕には驚くばかりです。(95年に1年だけ監督をしたときも2位でしたし)

外国人監督である以上、言葉の問題もあるし、習慣も違うにもかかわらず、これだけの結果を残すバレンタインの秘訣はどこにあるので しょう。野球の戦術的なことはよくわかりませんが、大きな要素として彼の前向きで明るい人柄、そしてこぼれんばかりの「アメリカンスマイル」にあるように 思います。いままで、笑顔の印象的な野球監督っていたでしょうか?野村監督、森監督、王監督、星野監督、名監督といわれる彼らですが、(無論、笑顔はして いますが)あまり笑顔の似合う監督とはいえなさそうです。(ヤクルトにいた関根監督くらいのものです)日本の文化では真剣勝負の場に笑顔は不謹慎という伝 統が確かにあります。ですが、これからはリーダーの資質として笑顔は必要なのではないでしょうか。巨人の原監督、そしてわれらが古田監督、期待できそうで す!

海外の指揮者にも2通りいます。ムーティ、アーノンクール、マゼールはどちらかといえば無表情なタイプ(もともとの顔が怖いということ もあるとは思いますが)だと思います。冷静にきびきびと的確に音楽を進めていく印象がある一方で、私にはどうしても冷たい印象が残ります。表情豊かな指揮 者の代表格はやはりバーンスタインがあげられるでしょう。他にもラトル、クライバーなど生き生きとした笑顔が思い起こされます。(指揮者ではないですが、 ヨーヨーマの笑顔も素敵ですね)

もちろんどちらが正しいとはいえません。前述の指揮者はみな素晴らしい指揮者です。ですが、私の自身の好み として、怒ったような顔でカルメン前奏曲やブラ2の第4楽章を振ったり、しかめっ面でモーツァルトを振るのは、厳しく言えば「場違い」だと思います。と同 時に、「笑顔」は人間の集団を前向きに引っ張っていく重要な要素だと私は思います。素敵な笑顔のできる指揮者になりたいと私は思っています。

2005年9月のご挨拶

こんにちは。アメリカは大きなハリケーンに次々と襲われ大変なことになっています。カトリーナでは 1000人以上の死者が出てしまったという事実が、先進国アメリカで起こったということは、私には驚きでした。東京でも9月4日の夜の台風14号による大 雨はすさまじいものでした。ちょうど車で三鷹にいて、洪水の中をホバークラフトに乗ってるかのごとくでありました。

先日は、閉幕直前の愛・ 地球博へ0泊3日の強行スケジュールで行ってまいりました。つまり、往復は深夜バスなのです。(まだまだ私も若いものです。)連休の合間の平日にもかかわ らずすごい人出で、企業パビリオンに行くことはできませんでしたが、ヨーロッパを中心に海外各国のパビリオンを堪能してきました。

もうひと つ、9月、私には衝撃的な出来事がありました。それは、ウィーン音大助教授の湯浅勇治先生に教えていただく貴重な機会を得られたことでした。以前、大学を 出てすぐの頃、先生に教えていただこうと伺って、断られてしまったことがありました。プロを目指すものしか教えないと公言されている先生にとって、その当 時の私の甘さを一瞬で見抜かれたのだと思います。なので、今回、先生の前で棒を振ることができただけで、とても嬉しいことでした。

何回かコンサートを重ね、いろいろな先生に教わり、お褒めの言葉もいただいてきた自分は、湯浅先生にも力を認めていただけるのではないかという期待がありました。ですが、そんな思い上がった期待は、まさに瞬殺、一瞬で粉々になってしまいました。

「指揮は自分の音楽に対する感情を伝えるものだ」と考えてきた自分にとって、先生のお教えは天変地異、驚天動地、とてつもない革命でありました。「大前提とし て、音楽に感情移入はもってのほかである。頭は徹底的に冷静で、指揮者は感情論に走ってはいけない、どう演奏すべきかはすべて、楽譜に書いてある。」とい う先生のお言葉は最初、なかなか自分の中で消化できないものがありました。

ところが、1日8時間という体力と精神力勝負のグループレッスン (先生は妥協がなくとても厳しい。)を連日のように重ねていくたびに、先生のおっしゃることの深さがだんだん見えてきたのでした。音楽がどういう構成でで きているか、リズムの塊はどうか、和声はどう進行しているか、シンコペーション、ヘミオラはどう演奏するか、ちゃんと正確に理解すること(「ちゃんと正確 に」という言葉の意味がものすごく重いのです。)、そして楽譜に書かれている音、指示をどう演奏したら効果的に響くかを優先すべきだということ、とても当 たり前のことに、気づくことができたのです。先生は、今活躍している一流の指揮者でも、このことが達成されている人はごく僅かだとおっしゃっていました。 本当の意味で先生の言葉を自分のものにするのはまだまだ先のように思います。不足している知識、分析能力を補って、作曲家の意図する世界に近づけるよう、 これからも努力を重ねていきたいと思います。

2005年8月のご挨拶

早くも残暑の季節です。関東を直撃した台風一過で、今年も厳しい残暑になりそうです。8月の更新と いいながらも、8月も半ばを過ぎてしまいました。今年の夏は地震あり、ロンドンでのテロあり、政変ありとなかなか大変な夏でした。来月には選挙が控えてい ますね。(私は郵政民営化賛成であります。郵便貯金を国が勝手に高速道路につかってしまって、一部の官僚、国会議員が太るような制度はやめなくては!・・ 話が脱線しました。。)みなさんはどんな「夏」でしたか?

私は、先日、茨城県いわき市で、小林研一郎先生の指揮セミナーに行ってまいりました。たった二日間、人数も30名弱という大勢のグループレッスンではありましたが、現地のいわき交響楽団のみなさんのご協力をいただき、大変内容の濃い時間となりました。

小林研一郎(愛称コバケン)先生は、私がまだ大学在学中に北海道女満別で開かれていた指揮セミナーで、指揮棒の持ち方から指揮の基本を教えてくださった私の 原点とも言える先生です。そのセミナーの最終日、プロの弦楽四重奏を前にモーツァルトのアイネ・クライネ・ナハトムジークの冒頭を振ったのですが、(その 瞬間が私の指揮者人生の最初の一振りでした)、先生は私の棒を見て、「棒に音楽が感じられる。」と力強く誉めて下さいました。その一言があったからこそ今 の私があるといっても過言ではないかもしれません。

以来、数年毎に、なにかにぶつかるたびに、先生に教わるべく、先生のパワーを身体で感じるべくセミナーに参加させていただいております。(毎年参加でなくてごめんなさい。不実な弟子です)。そして今回も大切な一言を頂きました。
そ れは「オーケストラの『気』を集める」ということです。舞台の上での指揮者は、実は舞台裏から出てきて指揮台の上で指揮棒を振り下ろすまでの瞬間で、ほと んどその人の実力が見えてしまうといいます。先生がおっしゃったのはその最後の部分、つまり指揮棒を振りあげる瞬間のことをおっしゃっています。何十人も のオーケストラを前に構えて、「さぁ、これから演奏するぞ・・・」という演奏者一人一人の「気」が充実して、指揮者の棒に集中するその瞬間を捕まえろとい うことなのです。無論、指揮者によってはその「気」を集めることが難しい人もいるでしょう。自分の中にオーケストラに負けないだけの音楽にぶつけられるエ ネルギーを持って指揮台に登ることが必須だと思います。そして互いの持つ「裂帛(れっぱく)の気(先生のお言葉)」が満ちる瞬間を全身の神経を集中して逃 さないこと、まさに指揮の真髄ともいえることを、先生は全力でで教えてくださいました。

言葉で言うのは簡単ですが、実際オケを前にすると非常に奥が深い感覚です。改めて、音楽の道を邁進する決意を新たにしたひと夏でした。

2005年7月のご挨拶

こんにちは。関東もついに梅雨明け、本格的な夏の到来です。さっそく蒸し暑い日が続いていますが皆 さんは夏ばてしていませんか?私は、「夏ばて」というより、「クーラーばて」しそうなくらい、クーラーと共に一夏を過ごしております。クーラーを発明して 下さった方に、足を向けて眠れません。

先日、東京学芸大学付属幼稚園でドラムの新保さんとピアノは当幼稚園の事務員の方で音大ご卒業の亀山 さんのピアノと共にクラリネットを吹く機会を頂きました。ここ数年、ソロでクラリネットを吹く機会があまりなかったため(オーケストラでもセカンドばかり ですしw)、前日までは緊張しましたが、いざ元気いっぱいの子供たちを目の前にすると、圧倒的な子供たちの元気、そして迫力のあるドラムの両方に負けない ように精一杯息を吹き込むことに夢中でした。目の前の小さな子供たちの心に、できるかぎり気持ちのこもった音楽を届けようと、ただひたすら必死に吹くばか りでした。「自分はそんながらじゃない」と思っていたのですが、子供たちを前にすると、自然と「歌のお兄さん」言葉になってしまう自分もなんだかおかし かったです。曲はジブリ映画とディズニーのテーマ曲を8曲とアンコールという少々長めの構成でしたが、自然と手拍子をしたり、大声で歌いだしたり、興味深 そうに身を乗り出してきたりと、子供たち一人一人がいろいろな反応をしてくれて、それを肌で感じることができて、とても楽しい時間でした。貴重な機会を下 さった新保さん、幼稚園の先生、そして保護者の皆様、ありがとうございました。

一般的に、ピアノ、ヴァイオリンなどの音楽の英才教育は、や はり5歳までには始めなければならないとよく言われます。絶対音感やリズム感が自然に形成される時期とも言われます。私の音感もその時に形成されたもので 両親には大変感謝しております。ですが、どうしてもその頃は集中力が持続しないため、ピアノやヴァイオリンのお稽古は辛くなってしまうものだと思います。 私はもっとも大切なのはその時期に、いろいろな「よい物」に触れることであるように思います。一見、難しすぎると思うようなことでも、子供は魅力溢れるも のにはとても敏感です。私の場合は小さいことからよく家で BGMにクラシックのレコードをかけていたことが良かったのではないかと母は申しております。(でも、その頃のピアノレッスンはやはり辛い面もあったので すが)そして、子供も大人と同じように、ひとりひとり興味を惹かれる対象がちがうものです。絵に興味を持つ子、歌に興味を持つ子、踊り、スポーツ、環境な どによって興味の対象はさまざまです。本当に「面白い」「楽しい」って思えるものに出会えた時、子供たちは無限の可能性を発揮するのだと思います。私のク ラリネットの演奏では残念ながらまだまだ力不足な面もありましたが、きらきらした子供たちの瞳を前にして、計り知れないほど大きな可能性に溢れた子供たち の心に、少しでも何か伝えられたら幸せだなと強く思いました。保育士の皆さん、毎日がたくさんの子供たちにエネルギーを注ぎ込んで本当に大変なお仕事だと 思いますが、たくさんの子供たちの人生に大きな影響を与えられる素晴らしい仕事、どうか頑張ってください。(私は帰った途端、ばったりと寝てしまいました w)