MFL管弦楽団 第4回定期演奏会「苦難を超えて」

日時2005年2月27日(日)
場所三鷹市芸術文化センター 風のホール
指揮宮野谷 義傑
演奏曲
  1. ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
  2. スメタナ 交響詩「わが祖国」より抜粋
今回はスメタナとベートーヴェン、二人の聴覚を失った作曲家を取り上げ、その絶望の中で書かれた音楽をご紹介していきました。どちらも逆境にあるからこそ、その音楽には「生きたい」「音楽で表現したい」という気持ちが強く現れているのだということがテーマでした。

実 は、MFL管弦楽団も大きな苦難の一年でした。致命的なほどの団員不足、出張や異動による休団、退団者がでるなど本当に厳しい状況下でしたが、コンサート ミストレスの柏木さんをはじめ、志しを持つ団員が地道に練習を重ね、音楽を作り上げてきました。最後は多くのエキストラの方にも支えられ、メンバーの一生 懸命な気持ちと、作曲者の熱い思いが一つになった良い演奏会が出来たと思っております。

メンバーがもっと充実し、より中身の充実した音楽作りが出来るよう、今後もオーケストラ共々、精進をしてまいりたいと思います。

2005年2月のご挨拶

こんにちは。今年もあっという間にもう一ヶ月が過ぎてしまいました。本格的に寒い日が続いていますが、梅や寒桜の花が咲いているのを見ると、春が近づいてることを感じます。
今 月27日に、1年をかけて準備をしてまいりましたMFL管弦楽団の第4回の定期演奏会があります。今回は音楽家にとって致命的とも言える「聴覚障害」に陥 りながらも、不屈の意志で作曲された音楽、ベートーヴェンの交響曲第5番≪運命≫とスメタナの交響詩≪わが祖国≫(抜粋)を演奏します。
コ ンサートでもお話しようと思っていることですが、ベートーヴェンの≪運命≫は、私にとって、小学校のときにレコードで聞いて以来、ずっと心の支えとなって いる大切な音楽です。ベートーヴェンがどんな人なのか、交響曲がなんなのか、オーケストラがどういうものか知らないときから、≪運命≫は、いじめ、挫折、 限界、さまざま壁にぶつかって絶望したときに、ともに苦しみ、嘆き、もがき、そして最後に希望、挑戦、生きる喜びに至らしてくれました。何度も何度も、私 の精神的危機を救ってくれました。
≪運命≫といえば、冒頭のタタタ・ターンが有名で、暗く深刻な音楽であると思われている方が多いかと思い ます。確かに第1楽章はそうですが、この音楽全体を見たとき、第1・2・3楽章という長い時間、自分の苦悩と真正面からぶつかり、全くの暗黒まで陥った中 から、一筋の希望の明かりを見出し、歓喜に至るその瞬間にこそ、この曲のすべてがこめられていると私は思います。静寂の中で自分の心を真正面から見据える 精神力、そしてそれまでの枠にとらわれず自分の思いをできる限り音楽に詰め込んだベートーヴェン。この音楽を私の人生の中で演奏する機会を得たことをとて も幸せに思っています。
静寂の中、自分の胸の中で故国への愛情をこめて描いたスメタナのわが祖国、そしてベートーヴェンの思いを体感しに、ぜひぜひ足をお運びください。ご来場を心よりお待ちしております。