2004年2月のご挨拶

寒い季節、インフルエンザも猛威を振るっているようですが、みなさんお元気ですか?私はお蔭さまで 体調を崩さず、先月末の2つのコンサートを無事やり遂げることができました。ご来場下さった皆様、本当にありがとうございました。そしてコンサートを支え てくださった皆様、心より感謝申し上げます。

ひとつのコンサートを開くためには、大変なエネルギーが必要です。それでも、苦労をはるかに上 回る「音楽を通して自分を表現する喜び」、「皆さんに共感していただく喜び」のために音楽活動を続けています。ですが、他にも喜びはあります。それは「人 とのふれあい」です。今回2回のコンサートを通じて強くその喜びとありがたさを感じることができました。

一つのコンサートを通して、多くの 方との出会いがあります。一つのものを作りあげていく過程で心の交流があります。演奏者の方、企画の方、裏方で支えてくださる方。作り上げる熱意、支えて くださる温かい気持ち。一つ一つの出会いがとても嬉しいものです。そして聴きに来てくださる方々。私は何度か入院経験があるのですが、普段会えない友人に お見舞いに来てもらうことがとても嬉しかったのを覚えています。音楽をし、コンサートを開くようになって、いらしてくださるの方々のご好意によって、懐か しい友人、恩師にご挨拶できる幸せを心から感じました。

「指揮」という作業は、つまるところ「コミュニケーション」だと私は思っています。 いかに深く、そして余裕を持って演奏者の方とコミュニケーションをとることができるか、きわめることが指揮の道なのだと思います。心を開いて演奏されてい る方とは、言葉を交わさなくとも目が合うだけで、舞台上でも多くのコミュニケーションをとることができます。また表情や演奏する姿勢が無意識のうちに私に メッセージを下さっている方々もいらっしゃいます。逆に私に対して、音楽に対して心を閉ざして演奏なさっている方も一部いらっしゃいます。そういう方に は、どうしたら心を開いていただけるか、文字通り微力ではありますが、精一杯試行錯誤をしています。こうした心のやり取りこそが指揮の本質なんだろうと、 なまいきながら思っています。

これからも奥の深い指揮を探求していきたいと思います。